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どんなジャンルにも当てはまる、上達する方法

 著者はこれまでノーベル賞などの世界的な賞を受賞した科学者、偉大な業績を上げた芸術家やプロスポーツ選手など、さまざまな分野で活躍する300人以上の人に、どのように才能を開花させたのかインタビューを行ってきました。そこから見えてきた結論は、物事の上達には、才能やセンスは必要ないというものでした。

たとえば、ケニアの選手が遺伝的に長距離走で強いと思われていますが、そんなことはありません。スポーツに強い遺伝子はいまだ見つかっていませんし、メダルを多くとっているのは、ケニアでも高地の出身者だけです。彼らは子どもの時分に学校までの往復20キロを走っていて、思わず知らず日常生活の中で高地トレーニングをしていたのです。

ならば上達するためには、どんことが必要でしょうか。いろいろなジャンルで共通しているのは、「10年間・1万時間」をかけた累積の練習です。気の遠くなる数字ですが、これが卓越したレベルに到達した人の標準です。さらにただ練習するだけではなく、質の高い練習を積み重ねていくことが必要です。

では取り組みの最初の段階では、何をすればいいでしょうか。まず「快体験」を多くもつことが必要です。興奮と情動を心と体で覚えると、もっと続けたくなります。次の段階は、基礎基本を徹底して学び、科学的、合理的に練習を繰り返すことです。しかしこの段階では、多くの阻害要因が待ち受けています。目標の理解不足、人間関係、アドバイスの不足などから来る「やる気の側面の阻害要因」、身体的、精神的な疲労、ストレスなどの「集中して取り組む側面の阻害要因」、場所や道具、仲間、ライバル、支援的でない文化など「環境の側面の阻害要因」もあります。この段階では、キャリアのあるコーチや先生につくことが欠かせなくなります。最終段階では、高みに到達するための「たくさんの答え」と「さまざまなやり方」から自ら考え、選び抜いて実践していく創造性が求められます。このとき「探索」と「熟考」という2つの姿勢が鍵を握ります。

おおまかな紹介をしましたが、上達の道は決してだれもが通れる易しい道ではありません。まさしく茨の道。ただそこを通り抜ける道しるべはたしかに存在しています。

【北村勝朗(きたむら・かつろう)】 東北大学大学院教育情報学研究部教授1961年長野県生まれ。東北大学教育学部卒。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現職。博士(教育学)。専門は教育心理学、スポーツ心理学。人の才能はどのように開花するのか、またどうしたら相手の才能を伸ばせるのかを研究テーマに、スポーツ選手から音楽家、研究者、実業家まで300人以上の達人(エキスパート)にインタビューしている。

 
 
 
 
 
 

書名:300人の達人研究からわかった 上達の原則
著者:北村勝朗
発売日:2015/4/10
定価:本体1400円(税別)

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