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自然にもぐり、命を感じる 「ピンク、ぺっこん」

 数々の素晴らしい作品を生み出している絵本作家・村上康成さんのデビュー作品です。
村上さんは釣りが好きで、川にすむ命を、思いのまま活き活きと描いています。

山の奥にある川で、ヤマメのこどもたちが冷たい水の中を、気持ちよく泳いでいました。
何匹ものヤマメのこどもたちは、同じ方向を見て、可愛らしいピンクのひれをヒラヒラさせて、水の中を進んでいます。
こどもたちは、みんないつもお腹がすいていて、ぺっこぺこのぺっこんです。
時には、葉っぱを食べ物と間違うくらい。

あ! あったあった、美味しそうな食べもの!   いただきま・・・
と、ところが、「おさきに!」という言葉とともに、あっという間に、横から現れた大きな魚に横取りされてしまいました。
ぺっこんはがっかりです。

しかし次に、大好物が空から飛んできました! えい!・・・と、思いきって川面に飛び出たぺっこん。
しかし、またしても、イワナに横取り・・・と思った瞬間!
そのイワナを、鋭いくちばしが捕まえました!
イワナは、ぺっこんの目の前で、ヤマセミに食べられてしまいました。

まだ、食事にありつけないぺっこんは、用心深くあたりを見回します。
・・・いたいた、でも、静かにね・・・

豊かで美しい色遣いと、横長のパノラマ風景の絵が、読み手をぺっこんのすむ川へと案内してくれます。
自然界で起きているごくあたり前の風景は、尊い命の風景です。
自然への愛情あふれる作品は、たちまち人気を博し、「ピンクとスノーじいさん」、「ピンク!パール!」、「ピンクのいる山」と、全4冊のシリーズになりました。
そして2013年、「国連生物多様性の10 年日本委員会(UNDB-J)」推薦「子供向け図書」 (「生物多様性の本箱」~みんなが生きものとつながる100 冊~)に選定されました。

作者が伝えたかったメッセージ、自然が生み出す毎日を、自然にもぐって、ぜひ体感してください。

【局アナnet】 茂木亜希子(絵本ナビゲーター) 

書名:ピンク、ぺっこん     著者:村上康成発売日:2000年価格:1365円

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