結婚するまでお互いの顔をほとんど見ないという「恋愛」事情や、
一夫多妻のリアルな内実など、急速に変容するイスラム社会にあっても、
日本とはまったく異なる価値観で力強く生きる
一族の女たちの生態を鮮やかに描いた渾身作
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「太陽と砂と風の匂いのする砂漠の老女。
生きていくことの勇気をもらった」―――――椎名誠
「どこに行っても何をしようと自由さ!」と、砂漠での遊牧生活をしているサイーダ(56歳)。彼女には、夫も子どももいるが、家族と一緒に暮らさず、ラクダ7頭だけを連れて、気ままに砂漠で“おひとりさま”の生活をしている。
一見、不自由に感じる砂漠での生活だが、ラクダに積んだ携帯ラジオで世界情勢のニュースを聞いていたり、都会で生活する子供たちが持ってきたコカ・コーラが大好物だったりと、著者は、これまで思い描いていた、 “ノマド”像とのギャップに困惑しながらも、彼女のたくましい生命力に惹かれていく。
一方、定住地に移り住むようになった元・遊牧民の女性たちの生活もまた、イスラム社会の「変わりゆくもの」「変わらずにあるもの」を浮き彫りにする。変容する現代においても、しなやかにたくましく生きていく女たちの日常を追う!
【目次より】
<第1部> 女ひとりの砂漠
第1章 旅のはじまり/第2章 ひつじの脳みそ
第3章 月と祈り/第4章 雨のあと
第5章 ゴルスの味
<第2部> うつりかわり
第6章 定住地のゆううつ/第7章 記憶の中の砂漠
第8章 砂漠に生きる誇り/第9章 愛は結婚後
<第3部> 男と女
第10章 白いハンカチ・赤い口紅/第11章 結婚は人生の半分
第12章 妻はふたり/第13章 嫉妬と中傷
エピローグ これから
http://shinsho.shueisha.co.jp/【著者プロフィール】
常見藤代(つねみ ふじよ)
1967年生まれ。ノンフィクション写真作家。上智大学卒業。2003年から、エジプトの砂漠で一人で暮らすベドウィン女性サイーダと生活を供にする。2006年、新宿コニカミノルタギャラリーにてサイーダの写真展を行い、その後も各地で写真展、講演会を開催。2012年第19回旅の文化研究奨励賞受賞。
書名:女ノマド、一人砂漠に生きる
(集英社新書 ノンフィクション)
著者:常見藤代
発売日:2012年12月14日
定価:798円(税込)