「大丈夫。私はこれからも私らしく生きていける。」
イラストレーター・原あいみさんの『私の生理のしまい方』(KADOKAWA)は、更年期世代に突入した原さん(47歳)が、様々な不調を抱えた大人女性9人に取材し、彼女たちの体験談をマンガ化したもの。女性医療クリニックLUNAグループ 理事長・関口由紀さんが監修を務めている。
「更年期」は、閉経前後の10年間を指す。生理不順、疲れやすい、眠れない、気分の乱高下など、自分でもよくわからない不調が現れる時期。「自分が自分でなくなったみたい...」「私はこれからどうなってしまうんだろう...?」と不安になる女性は多い。
「まるで私?」と驚くリアルなエピソード、この時期を乗り越えるヒントが、この1冊にぎっしり詰まっている。
1人目は、編集者のさおりさん(43歳)。夫(46歳)、娘(小5)と3人暮らし。白髪もシミも増えてきて、「老い」をひしひしと感じている。
それらはなんとなくスルーできていたが、生活に支障をきたす症状が現れ始めた。「ちょっとズキズキするな」というレベルでは済まない偏頭痛が月に1、2回。さらに、だるさや生理の乱れ、湿疹も。
「原因」がよくわからず不安になっていた頃、痛みの様子を記録し始めた。すると、自分がダウンする日に法則があることを発見。夫も娘も、体調にリズムがあることを理解してくれて気持ちがぐっと楽になった。
寝込んでいた時に「人の体って ほんとに寿命があるんだな...」と実感したさおりさん。「この不調 人間として普通か」と納得しつつ、人生後半戦に向けて「密かな生前整理」を決意する。
できなくて気になっていたのは、「仕事」と「家族のごはん」。自分が寝込んだ時、人に代わってもらえない仕事は断る。夫も娘も作れるように、食事内容を決めて仕組み化する。自分しかできない手のかかることはしない......。さおりさんは密かな生前整理を終えた時、心が晴れ晴れして、「自分に戻った」感覚になっていた。
2人目は、専業主婦のしょうこさん(51歳)。夫(55歳)と2人暮らし。45歳で結婚し、仕事を辞めた。夫の実家がある関西へ移住。新たな地で穏やかな40代後半を過ごすつもりだった。
ところが、48歳の頃から体に異変が。順調だった生理が乱れ始め、貧血になるほどの出血量で習い事に行けないことも。もともと人と話すことが好きだったが、予定を入れるのが怖くなり、家にこもるようになった。
東京で働いていた頃は、1日に何十人と話していたしょうこさん。イライラして、夫に当たらずにはいられない。さらに、帯状疱疹や不眠の症状も。イライラが頂点に達したり、夫に申し訳なくて涙したり、感情がまるでジェットコースター。
出口のないトンネルのような日々の中、「私」が消えていくような気がした。それでも遠くに出口が見えてきて、トンネルを抜けた先には、人との出会いと再会が待っていた。しょうこさんはまたおしゃべりをたくさんできるようになり、そしてなにより、そばでずっと耳を傾けてくれていた夫を、より愛おしく感じていた。
著者の原さんは、本作の取材を通して「私自身の不安がかなりふきとびました。50歳を目前に、これから閉経を迎え、歳を重ねていくことが楽しみにすらなりました。」と書いている。
更年期を「人生の路線変更のシーズン」と考え、人生後半に向けて心と体を整えていく。それぞれの「生理のしまい方」を読みながら、自分と同じような悩みにほっとしたり、将来の心構えができたりした。今、自分の変化に戸惑っている人に読んでほしい作品だ。
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