本を知る。本で知る。

あなたのベストパートナーは? ひとり旅に持っていきたい本

放浪行乞

 自由気ままなひとり旅。よきパートナーになるのが本だ。傍らにあるだけで安心できたり、悩みや疑問への答えをくれたりすることも。今回は、「ひとり旅に持っていくなら」をテーマに編集部のメンバーが選書した。

夏目漱石、超人じゃん

『草枕』

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夏目漱石 著/新潮社

 旅といえば一番に浮かぶ本。ひとり旅ではないが、高校時代に文芸部の活動で熊本へ行き、「草枕の道」を歩いてみた。石畳や獣道がどこまでも続き、ゴールの温泉に着く頃にはみんなへとへとで「夏目漱石、超人じゃん」と言い合った思い出が......。あれを一人で歩くのはかなり根気がいると思うが、チャレンジャーが生まれてほしい。(H)


『放浪行乞 山頭火百二十句』

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金子兜太 著/集英社

 旅行の時は俳句か短歌の本を持っていくことが多い。あまり順番を気にせず読めて、旅の途中でぴったりの句や歌に出合うことも多いからだ。その中で、放浪しながら自由律俳句を詠んだ種田山頭火(1882-1940)の関連をとっかえひっかえ携える。
 2018年に98歳で亡くなった俳人、金子兜太が書いた本書は初版が1987年だ。入手したのは1990年代初めで、仕事で出張することが多かった30代の時期だった。山頭火の人生をたどりながら、120句を同じ俳人の兜太が解説するスタイルで、人生そのものが放浪といえるような山頭火の一句一句を車中や宿で読みながら、まだ行ったことのない地や会ったことのない人のところに行く前の心を静めたり、興奮したりしていた。その後も、公私を問わず、旅の折にはバッグに放り込む。
 「けふもいちにち風をあるいてきた」は毎回、違う味わいを持って反芻する一句。(S)


本の舞台を訪れる

『ホルモー六景』

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万城目 学 著/KADOKAWA

 映画化もされた『鴨川ホルモー』の続編で、サイドストーリーのような位置づけの作品。恋愛要素強めで、個人的には前作より楽しく読んだ。短編集のような構成なので、新幹線の中などでも比較的読みやすい。京都旅行に行ったとき、バスターミナルに向かいながら地図を見て、小説内に出てくる地名や寺社仏閣を見つけては「あ、ここ知ってる」となるのがたまらない。(O)


『日本の道路122万キロ大研究 増補改訂版』

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平沼義之 著/実業之日本社

 旅先でレンタカーを借りるのが好き。普段乗らないタイプの車に乗れるのも理由の1つだが、何よりも普段走らない道路を少しビビりながら走って、目的地を目指すのがまたおもしろい。
 そんな時に、この本があると何気ない道も少し違った見え方になる。まっぷるなどの詳細地図とこの本を新幹線や飛行機の中で読んで、レンタカーの後部座席に乗せておく。そして立ち寄った道の駅などで読む。特に北海道の道を走る機会があれば、ぜひとも旅行鞄の中に入れておくことをおススメしたい。(O)


逃げる旅は北を目指す

『逃北 つかれたときは北へ逃げます』

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能町みね子 著/文藝春秋

 中学時代、社会の先生から「昔から戦に負けた人間は北に行こうとする。だから敗北というんだ」と教わったことがずっと頭にある。東北生まれなので、本書に出てくるいくつかの地名や場所に馴染みがある一方で、東北人が感じることのない「北国」の捉え方がとてもおもしろく、能町さんの表現技法には、まさに「敗北感」を味わった。今でも帰省する際の東北新幹線の中で読む。(O)


『逃亡くそたわけ』

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絲山秋子 著/講談社

 博多の精神病院から、21歳の花ちゃんと24歳のなごやんが脱走し、鹿児島方面へと逃げていく。何かからどこまでも逃げ出したいような旅ならぴったりでは。(H)


自分を見つける旅へ

『自分を変える89の方法』

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スティーヴ・チャンドラー 著、桜田直美 訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン

 旅をする前と後で、ほんの少しでも自分が変われたらいいなと思うので、持っていくなら自己啓発本。本書は1996年の刊行以来、25カ国20言語で出版されている。人生が変わる系の本の中でも、読んでよかった1冊。
 「自分が死ぬ日のことを想像してみる」「なりたい自分を演じる最高の俳優になる」......など、著者が実際にやって効果があったという89の方法を紹介している。こんなエピソードも。 1976年、著者は俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーとランチをした。当時彼は無名だったが、「ハリウッドで、もっとも稼ぐスターになる」と目標を語った。著者は驚いたが顔に出さないようにした。彼の計画は「なりたい自分のビジョンを描く」というシンプルなものだったが、のちに彼は本当にスターになった。
 旅の計画がある人もない人も、本書で「なりたい自分に出会う旅」に出てみては?(M)

書評はこちら→「私の人生を実験台にして書いた」世界的ロングセラー



ひとり旅の心強い相棒

『50歳からのごきげんひとり旅』

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山脇りこ 著/大和書房

 「ひとり旅」と聞いて、「いやもうアラフィフだし。ひとり旅なんてできる気しないワ」と昔読んだ本を思い出そうとしていた矢先にこの本を見つけた。50代は「最強にして最後のひとり旅適齢期」と言う山脇さん。怖いもの知らずの若さと引き換えに、経験と知恵を身につけた今だからこそ、ひとり旅を楽しむ心のゆとりがあるはずという言葉に勇気づけられる。山脇さんの旅先でのエピソードや旅のノウハウも満載で、ひとり旅再デビューのパートナーにぴったりの一冊。(N)

書評はこちら→女性の50代は最強にして最後の「ひとり旅適齢期」だった!



 お気に入りの本があれば、旅がより豊かなものになるだろう。旅先で本屋に立ち寄って、気になった本を手に取ってみるのも面白い。新たな出合いを探しに、いざ!



  • 書名 放浪行乞
  • サブタイトル山頭火百二十句
  • 監修・編集・著者名金子 兜太 著
  • 出版社名集英社
  • 出版年月日1987年12月 1日
  • 判型・ページ数254ページ
  • ISBN9784087751109

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