「台本を読むように洋服を見ています。どう演じるか、勝負なんです」
どんな衣装でも「エイやっ」と試してみる、そんなパワーに満ちた女優・草笛光子さんの言葉だ。
年を重ねるにつれて、おしゃれしたいという意欲が薄れていく......そんな気分になったら手に取りたいのが、『草笛光子 90歳のクローゼット』(主婦と生活社)。
2023年2月3日に発売された本書は、4万部超えと大反響を呼んだ前作『草笛光子のクローゼット』から5年を経て発売された待望の新刊。おしゃれの楽しさを思い出させてくれる1冊だ。
現在89歳の女優・草笛光子さんが、自身のクローゼットをさらに深掘りしている。「お散歩や買い物などTPOに合わせたリアルクローズ」、「タンスに眠った服と小物の活用法」、「草笛流日々の整え方」など、ファッションの話を軸に、草笛さんのパワーの秘訣がわかるファッションフォト&エッセイだ。
その中でも、特に草笛さんが「新しい着こなしができた」と語るコーディネートの1つが、黒のジャケットにピンクの水玉模様のパンツを合わせたもの。
ジャケットは、ボタンとカフスの花型ビジューがゴージャスな印象を与えてくれる。あえてZARAのカジュアルなパンツを合わせることで、キュートな着こなしに。
さらに、「お花や植物は大好き」と語る草笛さんが花屋で撮影した1枚も、自身で気に入っているコーディネートなのだそう。
普段着で愛用しているというユニクロのベージュのジャケットに、イエローのビタミンカラーのパンツを合わせて快活な雰囲気に。白のスニーカーですっきりと引き締めつつ、歩きやすさも確保している。冬を越したら、暖かな陽気の中を散歩に出かけたくなるようなファッションだ。
オン・オフと幅広いシーンで使えるコーディネートが豊富に掲載された本書。見どころについて、草笛さんは次のようにコメントしている。
「前半は、クローゼットから引っ張り出した洋服を着て、途中、大切な方からいただいたお洋服や、若いころの旅行写真、ローマ法王からいただいたメダルの写真、日常使いのお茶碗なんかもあって、ちょっと見せすぎじゃないかと思っています。後半は、読み応えたっぷりのエッセイ。前作を超える盛りだくさんな内容となっています。よろしければ、お楽しみください」
草笛さんは、前作に続いてもう1度ファッション本を出すことを提案されたとき、「もうお見せできる服はないから」と消極的だったという。けれど、それから心境の変化があった。インタビューでは、次のように答えている。
「昨今、突如コロナウィルスが蔓延し始めエンターテインメント業界も大打撃を受けました。そして、ロシアによるウクライナ侵攻も始まり、戦争体験者としては毎日心を痛めていました。今は思いもよらぬことが起こる時代だと痛感したのです」
「装うことのおもしろさ、楽しさ、うれしさ、何より挑戦を失ってはいけない」
その言葉どおり、本書はただコーディネートの参考にできるだけではなく、おしゃれかつおちゃめな草笛さんの人柄や、年齢に関わらず試したいファッションに挑戦する心意気がひしひし伝わってくる。
■草笛光子さんプロフィール
くさぶえ・みつこ/俳優。1933年10月22日生まれ、神奈川県出身。50年松竹歌劇団に入団し、松竹大船、東宝を経て数多くの舞台、映画に出演。ミュージカル「ラ・マンチャの男」「シカゴ」や、映画「犬神家の一族」「沈まぬ太陽」「武士の家計簿」、大河ドラマ「真田丸」(NHK)等、出演作多数。99年紫綬褒章、05年旭日小綬章、13年第48回紀伊国屋演劇賞・個人賞、2018年山路ふみ子映画賞財団特別賞、松尾芸能賞、読売演劇大賞優秀女優賞(「新・6週間のダンスレッスン」)等、受賞歴も多い。著書に、『草笛光子のクローゼット』(主婦と生活社)、『いつも私で生きていく』(小学館)等。
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