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『なぜ僕らは働くのか』企画者が語る、「将来の夢なくていい」納得の理由とは

なぜ僕らは働くのか

 2020年3月に発売されたジャーナリスト・池上彰さん監修の児童書『なぜ僕らは働くのか』(Gakken)が、このたび第22刷、発行部数50万部に到達した。

 BOOKウォッチの紹介はこちら→<「池上本」で 学研プラスと朝日小学生新聞がコラボ。1月6日から連載開始。


 私たちにとってもっとも身近で、もっとも答えづらい問いの一つ「"働く"とはどういうことか?」についてのさまざまな情報を、マンガや図解をまじえてわかりやすく解説した本書。ターゲットである小・中学生やその親から、"働く"ということを考え直したい大人たちまで、幅広い読者が手に取っている。本書はどのように生まれ、なぜヒットしたのか。企画・プロデュースした宮崎純さんが、Gakkenのインタビューで、本書に込めた思いを語った。

宮崎純さん
宮崎純さん

実際に、就職活動で苦労した経験から

 宮崎さんは大学生時代、就職活動にとても苦労したのだそう。理系科目が得意だったから理系の大学に進んだものの、理系の職業でやりたいことが見つからなかったのだという。

(宮崎さん)ちょうどその当時に『13歳のハローワーク』(村上龍、幻冬舎)がベストセラーになっていて、キャリア教育の大切さが叫ばれ始めた頃でした。「ああ、俺が中学生のときにこういう本で将来のことを意識していたら、こんな苦労しないで済んだかもしれない......」って、恨んでいましたね。何も考えてこなかった自分が悪いんですけど。
 運よくウチの会社に入社できたので、「将来への意識が低かった、過去の自分に贈るような本を作りたい」「自分みたいに苦労する若者を減らしたい」という想いは、2005年に入社した当初からずっとありました。

 このような経験が、入社して13年ほど経って、「"働く"を切り口に、さまざまな情報とメッセージを図解やマンガでわかりやすく伝える本を作ろう」という方向性につながったのだそうだ。

「キャリアの8割は予期せぬ偶然」

 本書で宮崎さんが特にしたかったことの一つが、「夢を決めてその実現に向けて一直線に頑張る人が素晴らしい」というキャリア教育に一石を投じることだった。本書でも紹介されている教育心理学者のジョン・D・クランボルツ氏は、「個人のキャリアの8割は予期せぬ偶然で決まる」としている。

(宮崎さん)自分の将来について考えることは大事だけど、早い段階でやりたいことが決まっているのがよいわけではないと伝えたかったんです。学校の先生は、先生になりたくて一直線に頑張って勉強してなったという人が多いかも知れませんが、世の中にはそんな直線的なキャリアを築いている人は多くない。"キャリアの8割は偶然"っていうほうがしっくりくるし、将来へのアンテナだけ張っておこうと思えば心もラクになれますよね。

 子どもには将来の夢を聞く機会も多く、「夢があったほうがいい」と思わせがちかもしれない。しかし本書では子どもたちに対し「やりたい仕事がまだなくても大丈夫」というメッセージを送っている。

クランボルツ氏の理論を紹介しているページ
クランボルツ氏の理論を紹介しているページ

 「働くのは何のため?」という子どもの問いに答えられない、あるいは、自分でもまだ考え続けているという人もいるかもしれない。本書では、一言では答えづらいその問いを、わかりやすい情報と解説とともに、ていねいに考えていく。

(宮崎さん)"働く"や‟仕事とは?"ということを、伝えるって難しいですよね。「お金を稼ぐために働くんだ」というのは、簡単に伝えられる1つの答えかもしれないですが、「稼げたら何でもいいんだね」「勉強しないでバイトしてたほうがいいじゃん」と言われると、ちょっと違う気がする。社会に出るうえでの大切な考え方や、仕事について持ってほしい気持ちの根っこの部分を、自分の子どもや若い世代にどうやって伝えるか悩んでいた人が多かったんでしょう。そこに応えてくれたのが、『なぜ僕らは働くのか』だったんだと思います。一言では言い表せない大事なことを伝えるには、本ってすごくいいツールですから。

【目次】
第1章 仕事ってなんだ?
第2章 どうやって働く? どうやって生きる?
第3章 好きを仕事に? 仕事を好きに?
第4章 幸せに働くってどういうこと?
第5章 大人も知らない未来の"働く"
第6章 いま あなたたちに伝えたいこと

■宮崎純さんプロフィール
みやざき・じゅん/株式会社 Gakkenコンテンツ戦略室所属、シニアプロデューサー。2005年入社。これまで手掛けた主な書籍に『やさしい高校数学』シリーズ、『宇宙一わかりやすい高校●●』シリーズ、『勉強のトリセツ』シリーズ、『5分で論理的思考力ドリル』シリーズ、『2分で読解力ドリル』シリーズなど。2020年3月に発刊した担当書籍『なぜ僕らは働くのか~君が幸せになるために考えてほしい大切なこと~』は、2020年度いちばん売れた児童書(20年4月~21年3月、日販調べ)となる。難しいことも楽しくわかりやすく伝えることを信条とし、新しい学びを常に市場へ提案している。


※画像提供:学研ホールディングス


   
  • 書名 なぜ僕らは働くのか
  • サブタイトル君が幸せになるために考えてほしい大切なこと
  • 監修・編集・著者名池上 彰 監修、佳奈 漫画、モドロカ 画
  • 出版社名Gakken
  • 出版年月日2020年3月19日
  • 定価1,650円(税込)
  • 判型・ページ数A5変判・228ページ
  • ISBN9784052051715

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