恋人がいる人を好きになってしまった、なんでも否定する母との向き合い方がわからない、イタい友人のSNSをバカにしてしまう...。人にはなかなか言えない悩みを抱えて悶々としている方も多いだろう。
でも、どんなあなたでも「ダメ」ではないと導いていく。そんな新感覚のお悩み相談が書籍化された。
2022年11月11日、『大人だって、泣いたらいいよ ~紫原さんのお悩み相談室~』(朝日新聞社)が発売された。
著者はエッセイストで男女2人の子を持つシングルマザーの紫原明子さん。「クロワッサンONLINE」のお悩み相談が、「度量が広すぎる」と話題になった、本書は、その連載に笑いと優しさを増して書籍化。イラストレーター・わかるさんのかわいらしい挿絵にも癒される。
たとえば、「差別的なおじさんとの付き合い方に困っています」という相談に紫原さんは、「周囲がどうあれ自分は決して腐ったリンゴにならないぞという気高い精神でもって対峙し、暗にままごとではない真の武士精神を身をもって示す」と回答。さらに、「なんでも否定する母とどう向き合うべきでしょうか」というお悩みには、「お母さんをお母さんと思わず、一つの『現象』として捉えてみるのはいかがでしょう」と提案する。悩みの原因となっている人や、自分と相手との関係を、一歩離れたところから見てみる。そんな紫原さんのスタンスが、味わい深いメッセージとなって読者に届く。
紫原さんは、本書の見どころは自分の回答ではなく「悩める相談者さんからいただいたお手紙、一通一通」だと語る。
この本が、すでに世に数多くある素晴らしいお悩み相談本と大きく異なる点は、何を置いても回答者が、何の専門家でも、偉人でもない、悩める凡人であるという点です。私の話の一体どこに説得力があるのかと、お返事を書きながら何度となく悩み苦しみましたが、少なくとも相談者さんの良き隣人として、生活者仲間として、できるだけ相談者さんの近くに立ちながら、少しでも実践的な解決策をお届けできるよう努めてきました。
常に私たちの頭を悩ませる恋愛や結婚、離婚や転職といった私的な問題は、結局のところ常に、生きていくために無視できない経済活動と表裏一体で、どんなに「私らしく生きる」が良いとされたところで、世の中が厳しくなればなるほど望む生き方を選択し、決定するリスクが高まります。そんな事情を背に、現状に不満を抱えながらも長い間身動きが取れずにいるという人が、決して少なくないように感じます。
(中略)
私たちは大人だから、簡単に人前で泣いたりしません。けれども本当はたくさんの人が、普段見せている冷静な顔の裏で、泣きたい自分を抱えながら生きている。相談者さんの言葉から、読み終わったときにはどこか、遠くにいるまだ見ぬ同志に出会えたような心強さを感じていただける本だと自負しています。
(「著者 紫原 明子さんより皆さまへ」より)
本書は「離婚と恋愛編」「人づき合いにもやもや編」「ときどき自己嫌悪編」「近いから厄介な家族編」「日常に残された最後の秘境編」「ままならない人生編」の6章立てで、紫原さんが相談者一人ひとりの悩みに丁寧に回答をしていく。
人に言ったら怒られちゃうかも...という悩みも本書には登場する。誰しも、清く正しく生きているわけではないのだ。読み終わる頃には、仲間が増えた気分になりそうだ。
目次は以下の通り。
1章 歯の神経トラブルは夫婦関係に似ている。 ~離婚と恋愛編~
2章 これまで運悪く「言葉の通じない場所」にいただけです。 ~人付き合いにもやもや編~
3章 たまには自らイタいことしていきましょう。 ~ときどき自己嫌悪編~
4章 お母さんを一つの現象と捉えることから始めましょう。 ~近いから厄介な家族編~
5章 彼とのセックスは毎回ヨガみたいでした。 ~日常に残された最後の秘境編~
6章 大人も子どもも、泣いたらいいよ! ~ままならない人生編~
■紫原明子さんプロフィール
しはら・あきこ/1982年、福岡県生まれ。男女2人の子を持つシングルマザー。個人ブログ「手の中で膨らむ」が話題となり執筆活動を本格化。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)がある。話して・聞いて・書いて自分を掘り出すコミュニティ「もぐら会」を主宰。「『WEラブ赤ちゃん』プロジェクト・泣いてもいいよ」ステッカー発起人。
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