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平野レミさん 「私、当たっちゃいましたね」。和田誠さんとの結婚生活、いまも思い出す言葉は――。<インタビュー 後編>

平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる

 平野レミさんの撮り下ろしレシピ集『平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる』(主婦の友社)が8月29日に刊行された。

 「世界の料理 わたし流」「レミ流ひらめきクッキング」「野菜を肉の3倍食べる工夫」など、充実のラインナップ。レミさんがいつも家族に作っている料理の中から、より手軽で楽しい気分になれるものを厳選して紹介している。

 BOOKウォッチでは、平野レミさんへのインタビューを2回に分けてお届けする。前編では、本書の見どころや子育てをお聞きした。今回は、レミさんの人生観、2019年に亡くなった夫・和田誠さんへの思い、夫婦円満の秘訣をお聞きする。

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「これが私の路線だったんだな」

―― 料理を仕事にしたいと思いはじめたのは、いつですか。

レミ 私は「こうなろう」っていう抱負も夢もなくて。誰かに頼まれて、自分にできそうなことだったら引き受ける、そんな感じでした。最初は和田誠さんの妻として、「和田さんにどんな料理を作っているんですか?」という取材に「こんなお料理を作っています」と答えるところが出発点だったんです。

 取材にくる方々が私の料理を食べてくれて、そのうちになんとなくこうなっていった。与えられた仕事をコツコツやっていって、振り向いたら「あ、これが私の路線だったんだな」っていう感じね。

―― 先に目標を立てるのではなく、振り返ったら道ができていたんですね。

レミ 夢に向かって邁進しても、それが叶わなかったら嫌じゃないですか。目の前に仕事の依頼がきたとき、自分に向かないことは断って、「できそうかな」って思うことだけをちょこちょこやっていく。それが私にとって、幸せだったんです。

 好きなことを一生懸命やっているから、1日があっという間。すごく楽しくて面白くて。それでこういう人生になっちゃったって感じ。だから、努力っていう言葉は合わないね。子どものときままごとで作った料理は食べられなかったけど、ままごとの延長みたいなことをして食べていけるなんて、我ながらすごいなと思う(笑)。

―― 原点のおままごとから、いまにずっとつながっているんですね。

レミ 楽しいと思うことが仕事になって、私はとても幸せだと思うのね。電車の中で見ず知らずの人から「うちの夫がレミさんの料理大好きなんですよ」って声をかけられたことがあるけど、初対面なのにこんなにも気心がピタッと合っちゃった! っていう感じは、本当に嬉しかったですね。

 そのとき「あ、これを仕事にしていてよかったな」って思った。私の料理で誰かが幸せになっていると思ったら、とても嬉しくなってね、張り合いがあって。「もっとやってみよう!」っていう気持ちになるんです。

―― それで料理愛好家歴40年。

レミ そう、あっという間。昔、私は研究家じゃないから肩書きどうしようかって和田さんに相談したら、「愛好家だろ」って言われて。それから「料理愛好家」でずっと通しています。
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上下でじっくりベジごちそう「鍋に鶏肉ときのこでスープを作りながら、上に蒸し台をのせてにんじんを蒸しちゃう」(写真:邑口京一郎)

1日も欠かさない夫との乾杯

―― 本書からもご夫婦の絆の強さがひしひしと伝わってきます。和田さんが亡くなってから、習慣にしていることがあるそうですね。

レミ 毎日、和田さんと2人分のお茶をいれています。遠方に1泊するときも、出発前にお茶をいれて、次の日帰ってきたら「お父さん、遅くなっちゃってごめんなさい」って言いながらお茶をいれて。カチーンと乾杯して、一緒に飲みます。和田さんが亡くなってもうすぐ3年になりますけど、1日も欠かしたことはないですよ。

―― 結婚生活を振り返って、円満な夫婦の秘訣はどこにあると思いますか。

レミ 私は和田さんの仕事に関して全然口を出さなかったし、関心も持たなかった(笑)。和田さんにとって家は憩いの場だから、おいしいご飯を作って、おいしいお茶をいれて、ワインを出して。和田さんも家に帰ってきたら、仕事の話は一切しなかったですよ。

 だからいまになって困っています、和田さんの仕事のことを知らなくて。でも私はずっと和田さんのことをとても尊敬していたし、和田さんは私のご飯をいつも「おいしい、おいしい」って言ってくれました。

 和田さんもきっと、やるべきこととやりたいことが一致していたから、とても幸せな人生だったと思います。嫌な顔をとうとう1度も見なかった。いつもニコニコして温和で優しい人でしたね。

―― なかなかそういう方はいないですよね。

レミ 私、当たっちゃいましたね。和田さんが亡くなりそうになったときに「私でよかった?」って聞いたら、「よかったよ、お母さん、よかったよ」って言っていました。
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大好きな緑茶は和田さんの分も(写真:邑口京一郎)

ひとりになっても、自分のために

―― 家族のためなら一生懸命になれても、ひとりになったとき、ごはんを作る気になれない人は多いと思います。ひとりの食卓を楽しむにはどうしたらいいでしょうか。

レミ 体は自分のもののようだけど、じつはそうじゃないと思うの。心は自分のものかもしれないけど、肉体はあずかっているというか、あてがわれたんだと。

 だからどうなっても構わないって思わないで、与えられた肉体を大事にしないと、両親に悪いと思うんですよ。せっかく元気な体をもらったんだから。私は、ひとりだからこそ、余計にがんばって作ります。自分の体のためにと思っていると、きっといいことがやってくるんじゃないかな。

―― レミさんはいきいきしていてまぶしいくらいです。同世代の女性に、こんなふうに生きていったらいいわよというメッセージをお願いします。

レミ やっぱり笑って暮らさないとつまらないから、嫌な人とは付き合わないこと。愚痴ばっかり言っている人とかね。明るい人と付き合うのがいいと思う。

 悩んで過ごしたって笑って過ごしたって、同じ1日。だったら、もう悲しいことはすっ飛ばして、笑うように心がける。仲のいい人とワインでも飲んで、楽しく過ごそう。いつも言っていることだけど、ごはんを一生懸命作って、キッチンから幸せを発信しましょう!
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著者の平野レミさん(写真:邑口京一郎)

■平野レミさんプロフィール

 料理愛好家・シャンソン歌手。主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、「料理愛好家」として活躍。"シェフ料理"ではなく、"シュフ料理"をモットーに、テレビ、雑誌などを通じて数々のアイデア料理を発信。また、元気印の講演会、エッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案するほか、特産物を使った料理で全国の町おこしなどにも参加し、好評を得る。レミパンやジップロン(オリジナルのエプロン)などのキッチングッズの開発も行っている。『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』『野菜の恩返し』(ともに主婦の友社)、『家族の味』『おいしい子育て』(ともにポプラ社)、『旅の絵日記』(中公文庫)など著書は50冊以上。


※画像提供:主婦の友社


 
  • 書名 平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる
  • 監修・編集・著者名平野 レミ 著
  • 出版社名主婦の友社
  • 出版年月日2022年8月29日
  • 定価1,650円(税込)
  • 判型・ページ数B5判・112ページ
  • ISBN9784074522224

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