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平野レミさん 「音も含めて、全部ごちそうだから」息子たちに受け継いだ"ベロシップ"<インタビュー 前編>

平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる

 平野レミさんの撮り下ろしレシピ集『平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる』(主婦の友社)が8月29日に刊行された。

 世界旅行の気分を味わえるレシピから、捨てるものが絶品料理になるレミさんマジックまで充実のラインナップ。レミさんがいつも家族に作っている料理の中から、より手軽で楽しい気分になれるものを厳選して紹介している。

 料理はすべて調理から撮影までレミさんの自宅で行い、盛りつけにはレミさん家の食器を使用したという。さらに、作り方とともに料理にまつわる裏話がポンポン飛び出すところも楽しい。

 BOOKウォッチでは、平野レミさんへのインタビューを2回に分けてお届けする。イメージどおり、とても明るく気さくなレミさん。前編では、あふれんばかりの料理愛、子育てでやってよかったことをお聞きする。

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私の集大成のような一冊

―― 本書には60以上のレシピが掲載されていますが、中でも「これは!」という思い入れの強いものはありますか。

レミ どれも大好きなものばかりだけど、たとえば私の定番「吸いとりパスタ」ね。昔これを紹介しようとしたら、「麺は別茹でするのが常識、粉っぽくなる」って編集の方から注意されたこともあったけど、最近はこの作り方をしている人もたくさんいるみたい。

 食べてみたら全然違和感ないですよ。簡単でおいしければ、どんどんやった方がいい。いまから10年、20年後の料理の世界はどんどん変わっていくんじゃないの、面白いわね。
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秋のきのこ吸いとりパスタ「具も水もパスタもぜーんぶ入れて、鍋ひとつで作るやり方なの」(写真:邑口京一郎)

―― 世界中を旅して見つけた料理を、レミさん流にアレンジしたものも紹介されています。「海外旅行が大好き」とのことですが、行き先はどうやって決めますか。

レミ とくに目的はなくて、「あの国にちょっと行ってみようか」っていう感じなの。現地で食べた料理がおいしいと思ったら、写真を撮ったりメモを書いたりして。家に帰ってきたら忘れないうちにスーパーに走って、作ってみる。そういうことが楽しくてね。

 行き当たりばったりで、出合った料理に感動して。私はいろいろなことに対する目的とか野心がないんですよ。旅でも生き方でも、何でも。

―― 本書のはじめに「私の集大成のような一冊」とありますが、いちばんの読みどころは。

レミ たとえば、「ヤムヤムおいしいヤムウンセン」(注:タイの春雨サラダ)。これは中にえびが入っているけど、殻を捨てたらもったいない。殻で水からとったスープに春雨を入れると、春雨がえびになっちゃうくらい味がしみこむ。「上下でじっくりベジごちそう」は、下(鍋)でスープを作りながら上(蒸し台)でにんじんを蒸す。

 そういう無駄のない料理がたくさん出てきます。1つ1つにちょっとしたいいことが書いてあるから、さらさらっとじゃなく全部読んでほしいです。

―― ご自宅の写真も載っていますが、おしゃれですね。ぜひ参考にしたいのですが、物の選び方や飾り方で意識していることはありますか。

レミ ぐちゃぐちゃでしょ(笑)。掃除するのが大変ですよ。面白いものが大好きで、飾りたいなと思ったら買っちゃう。棚は物でいっぱいだけど、「これはあそこで買ったな」「面白かったな」って毎日見て楽しんでいます。

―― 好きなものを好きなだけ飾る。それが日々の幸せにつながっているんですね。

レミ 何も飾らない部屋もいいかもしれないけど、家へ帰ってくるとやっぱりほっとしますよね。ぐちゃぐちゃで。撮影するなら片付けようと思ったけど、この本に載っている写真は全部そのまま(笑)。
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棚には思い出のつまったものたちが。(写真:邑口京一郎)

キッチンから幸せ発信!

―― 「両親は私に『好きなことを徹底的にやりなさい』って言ってくれた」とご両親への感謝が書かれていますが、レミさんが子育てでやってよかったことは何ですか。

レミ 息子たちが小さかったころは、「キッチンで勉強しなさい」って言っていたの。私はエプロン姿で、洗う音、刻む音、炒める音を聞きながら息子たちは宿題をする。「お母さんまだ?」「もうちょっとだからね」って言ったりして。それで「できたわよ」って声をかけたときに、子どもの喜び方が違うのね。

―― こうしなさい、ああしなさいではなく、姿を見せる。

レミ 作っている姿を見せるべきだと思ったの。音も含めて、全部ごちそうだから。それで「できたわよ」って言って出すのと、レトルト食品をチンしただけで出すのとでは、やっぱり違うんじゃないかな。プロセスを見せていたことは、とてもよかったと思う。

 息子たちがまだ学生のとき、私がいないときにね、キッチンで料理していたみたい。いまお嫁さんたち(注:上野樹里さん、和田明日香さん)に聞くと、ふたりとも料理がすごく上手だって。私の前では料理なんてしたことがないのに、びっくりしちゃうわよね。

 それに、あーちゃん(和田さん)やじゅりちゃん(上野さん)が作る料理の味も、私のと似てるの。「ベロシップ」(注:家族が舌=味覚でつながって絆を強くすること)が、ちゃんと受け継がれているんだなって。

―― そうしようと思ってできるものでもないですよね。

レミ 私はいつも「キッチンから幸せ発信!」って言って、心を込めてずっとそうやってきた。それがまたおいしくできると嬉しくて、みんなに食べてもらいたくなるし。

 「何かに向かって一生懸命やろう」って思うと疲れるけど、「この人においしいものを食べてほしいな」っていう、心から湧いてくる自然な気持ちでやっていれば疲れない。だから私は努力してがんばったりしないの。毎日毎日、心を込めてやっていれば、伝えたいことはちゃんと受け継がれると信じてるから。

【レシピ】秋のきのこ吸いとりパスタ

■材料 2人分
パスタ(フェデリーニ/1.4mm) 140g
A にんにく(みじん切り) 小さじ1
A オリーブ油 大さじ1
ベーコン 50g → 粗みじんに切る
バター 20g
好みのきのこ(しいたけ、しめじ、マッシュルーム、えのき、エリンギなど) 合わせて250g
ハーブ塩 小さじ1
水 500ml
しょうゆ 小さじ2
万能ねぎ 適量 → 小口切り
ゆず 1個 → 皮はすりおろす、実はしぼる
ゆずこしょう 適量

■作り方
1 きのこは、しいたけは石づきを除いて薄切り、しめじは小房に分け、マッシュルームは薄切り、えのきは石づきを除いてほぐす。エリンギは棒状に薄く切る。
2 フライパンにAを熱し、香りが立ったらベーコンを炒める。ベーコンの脂が出たら、バターときのこ類を加え、しんなりするまで炒め、ハーブ塩を加える。
3 2に水を加えて強火にし、沸いたらパスタを半分に折って入れる。ときどき混ぜながら、ふたをして6分ほど煮て吸いとらせる。
4 パスタがやわらかくなったらふたをとって水けを飛ばし、しょうゆを鍋肌から加えて混ぜる。
5 器に盛り、万能ねぎをとゆず(夏はすだち)の皮を散らし、ゆずの汁をかけ、ゆずこしょうを添える。
*煮る途中で水分がなくなりそうな場合は水を足す。水分が多い場合はふたをとり強火で水分を飛ばす。

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著者の平野レミさん(写真:邑口京一郎)
■目次
1章 世界の料理 わたし流
2章 レミ流ひらめきクッキング
3章 野菜を肉の3倍食べる工夫
4章 レミ流アイデアいっぱいのごはん、めん
5章 家族に愛され続けている料理
6章 わたしのいろいろ

後編を読む


■平野レミさんプロフィール

 料理愛好家・シャンソン歌手。主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、「料理愛好家」として活躍。"シェフ料理"ではなく、"シュフ料理"をモットーに、テレビ、雑誌などを通じて数々のアイデア料理を発信。また、元気印の講演会、エッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案するほか、特産物を使った料理で全国の町おこしなどにも参加し、好評を得る。レミパンやジップロン(オリジナルのエプロン)などのキッチングッズの開発も行っている。『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』『野菜の恩返し』(ともに主婦の友社)、『家族の味』『おいしい子育て』(ともにポプラ社)、『旅の絵日記』(中公文庫)など著書は50冊以上。


※画像提供:主婦の友社


 
  • 書名 平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる
  • 監修・編集・著者名平野 レミ 著
  • 出版社名主婦の友社
  • 出版年月日2022年8月29日
  • 定価1,650円(税込)
  • 判型・ページ数B5判・112ページ
  • ISBN9784074522224

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