コロナ禍が長引くなか、地方移住に関心を持つ人が増えている。ただ、実現するのはなかなかハードルが高いのも事実。地方移住って、実際どうなの? と様子見している人がほとんどだろう。
そこで今回は、「子育て世代」「中年女子」「東京に疲れた芸人」の地方移住にかんする3冊を紹介する。
移住のきっかけも、移住地も、暮らしぶりもさまざま。移住情報が得られるだけでなく、人生の転機を迎えたひとの話は読みものとして面白い。
■『子育て世代のための 快適移住マニュアル 知っておきたい、田舎でできる仕事・お金・子育て・地域のおつきあい』(誠文堂新光社、2022年)
金丸 知弘 著
いざ移住してみると、「リフォームに想定以上にお金がかかった」「仕事がうまくいかなかった」「地域になじめなかった」「過疎化で学校が廃校になった」など、想像していた田舎暮らしと異なる場合がよくあり、夢やぶれて都会に舞い戻る家族もいるという。
どうしたら移住で失敗しないのか? 東京から和歌山に移住した料理人の著者が、移住地を選ぶまでの経緯から、家探し、引っ越し、役場や地域の人とのコミュニケーション、教育、お金のことまで、どんな情報や行動が重要かを伝えている。
「移住というと、子供が独立して仕事をリタイアした方が田舎暮らしを始めるといったイメージがあります。しかし、私はむしろ移住するなら若いうちにした方が良いと思います」
「子育て世代が移住するメリット」の1つに「保育園が空いている」を挙げている。ただ、自治体の補助金や支援策が充実した地域の場合は要注意。すでに子育て世代がたくさん移住し、保育園が空いていないことも。自治体に問い合わせて確認しておこう。
■『中年女子、ひとりで移住してみました 仕事・家・暮らし 無理しすぎない田舎暮らしのコツ』(平凡社、2019年)
鈴木 みき 著
38歳で東京を離れ、山梨県北杜市で8年間暮らした著者による、"オトナ女子的"移住案内。
「仕事」「お金」「家探し」「近所付き合い」......。「家庭もない若くもない我ら」が定年前に「田舎暮らし」を始めるには、準備にコツがいるという(「家庭あり・若い・定年後」なら準備からサポートしてくれる自治体が多い)。
「テレビや雑誌で見るようなキラキラした田舎暮らしではありませんが、今、暮らしをちょっと見直すそんな時間を持つキッカケになれば。いいじゃないですか、ひとりだって。中年だって。今しかない、自分の今と暮らすのです。暮らす場所はあなたが選んでいいんですよ」
■『脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの』(大和書房、2022年)
本坊 元児 著
『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)密着で話題! 「山形県住みます芸人」として東京を離れた本坊元児(ほんぼう がんじ)さんのエッセイ。憧れの東京で売れなかった芸人が見つけた「脱・東京」の生き方とは?
東京に"住むため"にアルバイトした日々。「地方タレントになりたくて吉本に来た芸人なんか一人もいません」。仕事が増えてきたところにやってきた新型コロナ。「都会に疲れ、コロナで仕事もなくなった僕は、農業をやってみることにしました」......。笑えて、ときに刺さるエピソードの数々。
山形県のことを何も知らずに山形県に来たという著者。「なにより、山形県民は人が好い」と、山形の県民性を絶賛している。しんどいわと言いながら、芸人も農業も楽しくて仕方がない様子。育てたものを美味しいと言って食べてもらえる喜びは、漫才がウケたときに似ているといい、心から楽しんでいる。
「すべてを周りのせいにして荒んだ生活をしていた東京から山形へ移りましたが、つくづく場所が変わっても人が変わらないと何も変わらないなと実感しました。しかし、芸人仲間からは『顔つきが変わった! 優しい顔になった!』と言われるようになりました。僕は何も変わってないような気もするし、劇的に変わったような気もします。変わってないようで変わっていく心情の変化を赤裸々に書きました」
■金丸知弘さんプロフィール
1988年生まれ。東京都出身、和歌山県田辺市在住。カフェ、食品の加工・販売を行うCONSERVAオーナー、一棟貸し宿小家御殿オーナー、フリマアプリ活用アドバイザー。国内のリストランテでイタリア料理の基本を学んだ後、北イタリアピエモンテにある料理研修機関「i.c.i.f」へ留学。マスターコースを経てミシュラン一つ星のリストランテ「Guido da Costigliole」に勤務。帰国後、東京ステーションホテル「エノテカノリーオ (Enoteca NORIO)」に勤務。2016年和歌山県へ移住。
■鈴木みきさんプロフィール
東京生まれ。イラストレーター・漫画家。24歳のころに1年間過ごしたカナダで山に圧倒され、以来、登山にはまる。山雑誌読者モデル、山小屋バイトを経て、イラストレーターに。コミックエッセイのデビュー作『悩んだときは山に行け!』(平凡社)は、山ガールブームの先駆けとしてヒット。以降、登山を親しみやすいコミックで紹介する著作を次々と発表、山に登りつつ執筆活動を続けるほか、登山ツアーの企画・ガイドや講演など、活動の幅を広げている。著作に『私の場合は、山でした!』(平凡社)、『地図を読むと、山はもっとおもしろい!』(講談社)などがある。2010年より山梨県北杜市在住。
■本坊元児さんプロフィール
1978年生まれ、愛媛県松山市出身。吉本興業に所属するお笑い芸人。2001年1月、水口靖一郎とコンビを組み「ソラシド」を結成。現在は「山形県住みます芸人」として活動しつつ、『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)の密着をはじめとして、様々な番組への出演で話題となる。著書に『プロレタリア芸人』(扶桑社文庫)がある。現在「本坊ファーム」で野菜作りに挑戦中。趣味は沖縄三線。
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