「1日2回で肩甲骨と骨盤のゆがみがとれる」「努力いらずで、効果は劇的!!」――。
東京医科大学准教授・遠藤健司さんの著書『1分で美姿勢になる ファシア・ストレッチ』(青春出版社)の表紙を見て「よくあるストレッチ本か」と思ったが、そこには「ファシア」という目新しいワードが......。
「あさイチ」(NHK)で「コロナ禍のおうち時間に! 体メンテナンスの新常識"ファシア"」と紹介されるなど、メディアも注目の「ファシア」。本書は、整形外科の名医が「内側から美と若さを引き出す秘密」=「ファシア・ストレッチ」を紹介した一冊。
「ぽっこりお腹や、たれ気味のお尻、ねこ背や巻き肩......。(中略)実はそれ、人体最大の組織『ファシア』が原因だったのです」
そもそも、「ファシア」とはなにか。これは筋肉や臓器、神経などを包み込み、ボディスーツのように体全体にフィットした組織のこと。
たとえば、みかんの皮をむくと、皮と実の間に白い筋状のものがある。「ファシア」は、この筋状のものと実を包む薄い膜を合わせた部分。みかんは放っておくと乾燥して硬くなり、皮がくっついてむきづらくなる。これと同じく、「ファシア」は運動不足や長時間の座り仕事で硬くなり、不調が生じてくるという。
■「ファシア」の特徴
・動かさないと硬くなる
・動かすとやわらかくなる
「ファシア」はコラーゲンを非常に多く含んでいるため、本来はとても「ゆるゆる」している。ただ、日常生活には「ファシア」を硬くする原因が多く潜んでいるというから要注意。
なんでも、人間は30分間同じ姿勢をとり続けると、筋肉が緊張し始めるという。たとえば、前かがみの姿勢でスマホやパソコンの画面を凝視し続けるのもNG。
「(不調が生じるのは)同じ姿勢をとり続けることによって、肩甲骨と骨盤をほとんど動かしていないためです。(中略)私は体の不調の97%はファシアが原因と考えています」
本書は「1章 ファシア・ストレッチが『姿勢』に効くワケ」「2章 ステップ1・2・3! ファシア・ストレッチ」「3章 『美』と『若さ』だけじゃない! ファシア健康法」の構成。オールカラーで写真やイラストが豊富。人体のしくみ、筋肉の位置、ストレッチの方法がよくわかる。
さて、「ファシア」が健康のカギを握る組織であることはわかったが、具体的になにをしたらいいのか。
「実は、ファシア・ストレッチでほぐすのはたったの2か所。それが体の重要な部位『肩甲骨』と『骨盤』です」
肩甲骨まわりは、頭(体重の約10%)を支え、立体的に動く腕の根元にあり、下半身にも関連している。骨盤は、体重の6~7割ある上半身を支えながら、立体的に動く足の根元にある。どちらも "体の立体交差点"であり「体の要」としている。
■「ファシア・ストレッチ」の3ステップ
1 ファシア・ほぐし(押し流し/あご引き体操/ブルブルかかと落とし)
2 ファシア・ストレッチ(肩甲骨はがし/骨盤回し)
3 ファシア健康習慣(30分刻み集中/大振りウォーキング)
■「ファシア・ストレッチ」の5つのルール
1 「朝」と「晩」の2回
2 毎日やろう
3 イタ気持ちいいくらい
4 ほぐす筋肉を意識
5 ジワジワ効いてくる
ステップ2の「肩甲骨はがし」は、「1 ひじを上げる」「2 ひじを後ろに」「3 ひじを後ろから前に回す」。「肩甲骨を体からはがすイメージでひじを回す」のがポイント。イタ気持ちいい、グリッと音がする、体がポカポカする、と感じたら効果が出ている証拠。
同じくステップ2の「骨盤回し」は、「1 ひざを前に上げる」「2 ひざを、外側を通って後ろに回す」「3 ひざを下に向ける」。「足を回すのではなくひざを回す」のがポイント。こちらは写真を見ないとイメージしづらいかもしれない。
「(ファシアは)従来は機能的意味のない不要のものと考えられていましたが、重要な役割を担っていることがわかりました。ちょうど人の心もゆとりがないと思考が悪くなってしまうのと同じですね」
医学の進歩とともに、ストレッチも進歩しているようだ。「1日1分程度」「1回やったそのときから、効果を実感」という「ファシア・ストレッチ」。その3ステップは至ってシンプル。この春からの新習慣にいいかもしれない。
■遠藤健司さんプロフィール
東京医科大学整形外科准教授。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京医科大学整形外科大学院修了後、米ロックフェラー大学にポスドクとして留学し、神経生理学を専攻。帰国後、東京医科大学整形外科医長などを経て、2018年より現職。首下がりなど脊椎変形矯正手術、脊椎疼痛治療が専門。病気が原因ではない体のさまざまなこりや痛みについても研究を進めている。
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