衣替えのシーズン。クローゼットやタンスの整理をしていると、ずいぶん前に母からもらった着物が目に留まった。「物はいいから」「いつか着るかも」とタンスの肥やしにしたままで、結局一度も袖を通していない。きっと、もう着ないかも......。だからといって、捨ててしまうのはもったいない。
そんな記者と同じように、着物を持て余している人の救世主となるかもしれない本が、2020年10月15日に発売された。
『毎日着られる 着物リメイク』(日本文芸社)は、正絹(しょうけん)の小紋や紬は、おしゃれ着に。洗濯できる木綿や麻、浴衣は、夏のおしゃれ着や普段着にと、着物ならではの質感や素材を生かしたリメイクアイテムと作り方を紹介している。
反物の細長い形はそのまま、型紙を使わない直裁ちで、基本はまっすぐ縫いでできるから裁縫上手でなくてもチャレンジしやすい。
本書では、着物リメイクの基礎知識として、着物の種類、直裁ちの方法から手縫いの基礎まで、写真と図解でていねいに解説している。着物の生地は基本的にミシンで縫いやすいが、ミシンが苦手な人や、縫いにくい風合いのものは、手縫いでOK。
後ろリボンのブラウスやカシュクールパンツ、シャツワンピース、フリルスカートから、お弁当包みやマスク、エコバッグなど、AからZまでのアルファベット順に26のリメイク例がある。
どれも着物リメイクらしさを主張しすぎない、今っぽいおしゃれなデザイン。著者は、屋号『晴ル屋』(ハレルヤ)を名乗り、パタンナーとしての活動を中心に、オリジナルの作品やオーダーメイドも手掛けている志水美香さんだ。
本書の編集担当者は、以下のようにコメントしている。
「もう捨ててもいいと思った着物なら、一度洗濯して、縮んだり風合いが変わったりしたのを確かめてから、リメイクしてもいいかもしれません。おしゃれ着洗剤で手洗いするとしても、自宅で洗濯できるとわかっただけで、リメイクの幅も広がります」
素材の良さは折り紙つき。眠っていた着物をすてきにリメイクしてワードローブに加えたい。
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