「見てほしいのは 完璧な姿
愛してほしいのは ありのままの姿
見て見ぬふりをしてほしいのは
ふたつの間でふらつく姿」
もし、この詩を読んだだけで「作風があの人っぽいな」と思い浮かぶとしたら、相当な久保帯人ファンにちがいない。 これは、2001年~2016年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、大好評を博した少年漫画『BLEACH』の作者・久保帯人(くぼ・たいと)さんによる詩だ。新連載『BURN THE WITCH』のコミックス第1巻(2020年10月2日発売)に掲載されている。
表紙を開いてすぐ、1ページ目に載った詩に胸を打たれ一気に物語の世界へ引き込まれる感覚は、『BLEACH』のコミックスでも味わった人が多いはず。
では、根強いファンがいるその独特のセンスがさらに洗練された新連載は、いったいどんな作品なのだろう。
黒い着物を身にまとい、刀で戦う「死神」が活躍するという「和」の世界観であった『BLEACH』とは対照的に、『BURN THE WITCH』は、西洋をモチーフにした作品だ。舞台はロンドン。主人公の2人――ニニー・スパンコールと新橋(にいはし)のえるは、「魔女(ウィッチ)」という資格を持ち、異形の存在「ドラゴン」の保護と管理に従事している。
ドラゴンと戦うときに使う「魔法」にはそれぞれ「マジック#(マジックナンバー)」という数字がついており、呪文を唱えることで発動する。この呪文にも、久保さんならではのセンスがこれでもかと詰め込まれているのだ。
「指の先 声の鋒(きっさき) リベンジャー・ジョーの鉄の鍵
五錠三鎖を 連ねて静寂 笛の音色で 眼を潰す
マジック#31 『ブルー・スパーク』」
もちろん、あの久保さんのセンスが光るのはストーリーや台詞だけではない。コミックスの装丁までもが、見事に作品の世界観を表現している。ニニーとのえるが所属する「笛吹き隊(パイパーズ)」のユニフォームと同じ、赤いタータンチェックが印象的にデザインされている。
以下が、本書の目次だ(邦題は編集部訳)。
#0.8 Don't Judge A Book By Its Cover (本を表紙で判断するな)
#1 Witches Blow A New Pipe (魔女は新たな笛を吹く)
#2 Ghillie Suit (ギリースーツ※)
#3 She Makes Me Special (あの子があたしを特別にしてくれる)
#4 If A Lion Could Speak, We Couldn't Understand(たとえライオンが話せても、私たちにはわからない)
第1話の前日譚にあたる「0.8話」の最後では、「BURN THE WITCH」というタイトルに隠された、ある「仕掛け」が明らかになる。久保帯人ファンにはたまらないサプライズなので、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。
本作は、10月2日から15日までの2週間限定で、劇場版も公開されている。上映劇場など、詳細は公式サイトで確認できる。
※ギリースーツは、ハンター等が使用する迷彩服の一種。
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