NHKの人気番組「ダーウィンが来た!」などにも出演の写真家、嶋田忠(シマダタダシ)さんが2019年7月17日、写真集『LAST PARADISE』(講談社)を刊行する。色鮮やかな極楽鳥などの求愛ダンスを含む貴重な作品が収められている。当ページに引用した表紙の写真を見るだけでも、生き物としての力が伝わってくるようだ。
嶋田さんが極楽鳥に出会ったのは1993年、44歳の時。当時ニュースステーションで映像作品を紹介するコーナーを持っていた嶋田さんは、減少する熱帯雨林を記録しておこうと考えていた。当時の自然番組といえばアフリカの映像が多かったため、嶋田さんはあえて、中南米、アジア、オセアニアを選んだそうだ。
仕事の前に、個人的にパプアニューギニアに足を運んだときに、嶋田さんが出会ったのが「赤飾風鳥」。
「この世のものとは思われないような美しさだった。惚れ込んだ。」と当時のことを語っている。
極楽鳥は、世界で42種存在し、パプアニューギニアには32種いるそうだ。美しさと面白さを備えた鳥で、自分以外の人間にも見てほしいと思ったのがこの作品を作るきっかけになっている。
嶋田さんは言う。
「タンビカンザシフウチョウというのがいて、地上で踊る極楽鳥です。
天女のような美しさで、ピエロのような面白さがあった」
「極楽鳥は翼をもった生き物。その翼を使ってダンスをする。
そして、飛ぶためだけでなく、メスにアピールする専用の羽、飾り羽も体のあちこちに隠されている」
翼は、鳥として飛ぶためのものと考えがちだが、それだけではないようだ。
「私たちは生き物を見ると、ある意味があるからこんな形に進化したと思いがちだが、極楽鳥を見ていると、そうとばかりは思えない。生き物の進化ってそんな単純なものじゃないと思ったのです」
「この生き物を見ていると、自分で楽しんじゃってる感じがする。自分のやってることに酔っている。すべてに理由がつけられなくてもいいのではないかと思う」
極楽鳥が求愛ダンスをするのは日の出前後。嶋田さんは、暗いうちに気温10度、湿度100%の熱帯雲霧林で撮影準備をする。そして、貴重な一瞬を捉える。なぜそこまでするのか。
「生き物への畏敬の念がある。可愛いだけでは片づけられない」本作に収められた写真は、このような思いの中で撮られたものだ。
「飛ぶという行為。(鳥は)一瞬で飛べる、人間にはできない」
(だから)
「より美しく、より激しく、より凄まじく。生き物の写真はそう撮らなければならない」
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