急に気温が上がり、汗ばむ陽気が続いたかと思えば、夜は冷え込んで上着なしでは寒かったりと、春先は体調を崩したり体に不調が出やすい時期。
そんな時期だからこそ体のケアには気を遣いたいところですが、どんなことに気をつけてケアをすればいいのかというのはわかるようでわからないもの。
『酸素不足が病気をつくる』(あさ出版刊)は体調と酸素の関係に注目する書。体に酸素が不足することの原因と結果について、著者であり中医学の見地から体の不調のケアを行う「日本リバース」院長の今野清志さんにお話をうかがった。その後編をお届けする。
■暖かくなりはじめの春先に起こりやすい体調不良とは
――体の不調には、気候も関わってくるかと思います。気温の上がり下がりが激しい今の時期にありがちな不調としてはどのようなものがありますか?
今野:冬の時期は腎経といって、腎臓につながる耳に不調が出やすいのですが、春先のこの時期は肝経、つまり肝臓が悪くなりやすい時期です。肝臓は目とつながっていますから、目の不調にも要注意です。
春先は何かとだるかったり眠くなったりする時期ですが、これも肝臓と関係があると言われています。肝臓は血筋と筋肉を司る器官ですから、ここの調子が悪いと血流が十分に行き渡らずにだるくなったり眠くなるというわけです。
付け加えるなら、春の肝経、冬の腎経に加えて、夏は心経(心臓)、秋は肺経(肺)と、季節ごとに調子の悪くなりやすい器官があります。
――では今の時期は肝臓に要注意という。
今野:そうですね。もう少し経って夏が近づくと、今度は心臓の不調が出やすい時期になりますが、夏は自律神経も乱れやすいのでそちらにも注意が必要です。
――今、目や耳のお話が出ましたが、今野さんの本ではこれらの不調にも酸素不足が関わっているとしています。目も耳も急に悪くなることがありますが、こういう時に体では何が起きているのでしょうか?
今野:視力の急激な低下や、あるいは突発性難聴のような症状も、長い期間にわたっての体の負担が、ダムの決壊のように一気に表面化したものだと考えるべきです。症状だけを見れば急激な変化のように思えますが、実際はそこにいたるまでに長い時間がかかっているんです。
――今まで、目、耳、口の不調についての本を書かれてきて、今回は体全体の不調について書かれたのはなぜですか?
今野:たくさんの人が体のあちこちに不調を抱えるなかで、自分の体を弱くしているものが何なのかを考えていただきたくて書きました。
病気や不調について、普段の努力で防いだり改善できるものは少なくありません。じゃあその普段の努力としてどんなことをすればいいのかというのをこの本では紹介しています。
――最後に、治療院にくる人が絶えず多忙ななかで、今野さんが本を書き続ける理由を教えていただきたいです。
今野:この治療院をやっていると「なんでもっと早くこなかったのか」と後悔している人がたくさんきます。目の病気が悪化して取り返しがつかなくなってから来た人もいますし、他の体の不調もそう。こちらに発信力があれば、症状が改善しないまま病院に通い続けている方々の道しるべになることができると思って本を書いています。
患者さんにとって適切なものを提供するということに中医学も西洋医学も関係ありません。何年も病院に通ってもよくならないなら、少なくともセカンドオピニオンを受けてみるべきですし、こんな考え方もあるんだということを知ってもらえればいい。
本を通して、目や耳をはじめとした体の不調に自律神経がどれだけ関わっているかを訴えてきましたが、最近では眼科でも自律神経の話をする先生が増えてきたと聞いていますから、少しずつ本を書き続けてきたことが浸透しているのかもしれませんね。
(新刊JP編集部)
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