テレビや雑誌などで、芸能人や著名人が「夢を持とう」を呼びかけているのを見たことがあるという人は多いはず。
基本的に、私たちの社会では何か大きなものに向かって努力することはいいことだとされています。しかし、子どもならともかく、自分の能力や才能の程度がわかってしまっている大人は、「夢はでっかく!」「目標は大きいほどいい」と言われても白けてしまい、「どうせ自分には無理」とかえってやる気をなくしがち。
特別な才能も能力もない「普通の大人」はどのように夢や目標を持てばいいのでしょうか。
今回は『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』の著者、横須賀輝尚さんにその秘訣を伺いました。
―まず、横須賀さんがこの本をお書きになった動機からお聞かせ願えますか?
横須賀:この本は自分にとって18冊目になるのですが、私は行政書士としての他に士業の方のためのコンサルティングをしていることもあって、これまで出版してきたのは法律の実務本ですとか、士業の経営ノウハウの本ばかりなんです。
それはいいんですけど、段々とそれ以外の本の企画が出版社に通らなくなってしまって(笑)。
私としてはもっと広く書きたいテーマがあるので、これまでの色を変える意味で、今回はいつもと違うテイストの本を書いたという理由があります。
それと、私がコンサルティングをしてきたなかで、真面目にがんばっているのにどうもうまくいかず、すねてしまっている人たちが多くいたんです。そういう人たちに「大丈夫だよ」と言ってあげるような本を書きたかったというのもあります。
―本書では、いわゆる「普通の人」が成功するための秘訣を書かれていますね。
横須賀:そうですね。何かで成功した経験もないし、反対にものすごい逆境をくぐり抜けてきたわけでもない、ずっと真ん中あたりにいる普通の人です。
―本屋さんで「成功法則」が書かれた本を見ることがありますが、著者の多くはエリートか、逆境をはね返してきた人のどちらかという印象です。確かに「普通の読者」が読んで役立つかというと、ちょっとどうかというところもあります。
横須賀:私自身、そういう本を読んでかえって気力が萎えてしまったという経験があります。大企業出身の経営者が「まずは年商1億3000万を目指しなさい」と書いても、その時点で普通の人は「自分には無理」と思ってしまう。読んでかえって落ち込んでしまったり「しょせんモノが違うんだな」とすねてしまうんじゃないかというのはありますね。
―本書には、横須賀さんがこれまで歩んできた道のりや、そこから導き出したご自身ならではの成功法則が書かれています。先ほど“「普通の人」のための成功法則”というお話が出ましたが、横須賀さんにとっての「普通の人」というのはどういう人なのでしょうか。
横須賀:基本的に真面目な人ですよね。真面目にがんばっているのに、職業にしても年収にしても自分が思い描いていた人生にならないなという人。それで「俺の人生はこんなもんだ」と諦めてしまっている人。この本は、そういう人に読んでほしいと思っています。まあ、会社に勤めていて順調に収入が上がっていく時代じゃないですよね。
― 一般的な「成功本」に書かれている成功法則と、横須賀さんの成功法則には内容にはどんな違いがありますか?
横須賀:世の中の成功法則には、大別して三種類あって、一つは「考え方と習慣」にまつわるもの。もう一つは「潜在意識に訴えかける」もの。それと、「具体的に稼ぐ方法」についてのもの。この本ではこの三つを分類しています。
「素直な心を持ちなさい」と書かれている本はたくさんありますが、それだけで成功できるかというと、もちろんそんなことはありません。そういった考え方や習慣の部分を良くしていきながら、具体的な稼ぎかたを学んでいくというのがベストです。
これまで読んだ成功法則の本の内容が、三種類のうちのどれにあたるのかがわかれば、自分に足りないものもわかってくるのではないかと思います。
―今おっしゃった三種類をどれも「成功法則」としてひとくくりにしてしまうと混乱してしまう人が多いかもしれません。
横須賀:そうですね。そこで大事になるのが自分にとっての「成功の定義」、つまり「自分にとって成功とは何か」ということなのですが、それを決めることの重要性はあまり言われていません。
どんなことをするにしても、そこを決めないことには始まらないんですけどね。
(後編につづく)
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