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「奇跡の醤(ひしお)」竹内早希子著

  東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市。そこで1807年から続く醤油(しょうゆ)蔵 八木澤商店もまた、津波で何もかも流された。九代目の河野通洋氏は、そんな状況でも「必ず再建する」と社員を前に約束する。
 醤油造りには蔵に特有の麹で発酵させたもろみが欠かせない。本書は、失われたもろみを思いがけぬ場所で発見し、伝統の醤油が復活するまでを丹念な取材で追ったものだ。震災の甚大な被害と、そこからの復興に苦闘する社員たちの様子がつぶさに描かれ、胸を打たれるが、本書の読みどころはそれだけではない。糸井重里氏の帯文にもあるように「成長の物語」としても興味深く読める。
 さまざまなものを失ったことにより、社長をはじめ皆が「なぜ働くのか」を考え、失敗や成功を通じて、人の助けに有り難みを感じる。必死に立ち上がろうとする人の姿に、仕事や生活の本質を見せられた気がする。 

書名:奇跡の醤(ひしお)著者:竹内早希子発行:祥伝社定価:1700円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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