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「水中考古学」井上たかひこ著

  歴史の謎を解く鍵は、海に沈んでいるかもしれない。海底の砂に埋もれた船や遺物は浸食をまぬがれ、数千年前の姿を保っていることも少なくないという。
 淡水海水問わず、水の中に沈んだ船や遺跡を発掘、保存、調査するのが水中考古学だ。学問としては半世紀ほどの歴史しかないが、3300年前に沈んだツタンカーメンへの貢ぎ物から悲劇の客船タイタニック号まで、研究対象は幅広い。そしてこれらの成果は「世紀の発見」として大きな注目を浴びる。
 著者は現役の水中考古学者。70歳を超えた現在も、千葉県沖で発見した幻の黒船ハーマン号を調査している。海洋国家をうたうわが国だが、水中考古学の世界では諸外国に大きく水をあげられている。元寇船の発見以来、国はようやく遺跡の保存に本腰を入れ始めたが…。海底資源の採掘も大事だが、海底遺跡の調査も国を挙げて取り組んでほしいところだ。宝の持ち腐れではモッタイナイ。

書名:水中考古学
著者:井上たかひこ
発行:中公新書
定価:800円+税

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