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「老人たちの裏社会」 新郷 由起著

夕刊フジの書評から
2015/3/30
 　高齢化社会の日本で、年寄りはもはや若者を見守ってくれる「社会の球拾い」ではなく、現役プレーヤーだ。表の意味でも裏の意味でも。そんな実例と考察を満載したのが本書だ。
　万引きは生活に窮してのものというより「非常に成功率の高いギャンブルなのです」。年がいもないシニアストーカー行為は「人生でやり残した未経験の本物の恋愛」を恋愛の訓練がないまま「次はないかもしれない」と思い込むことで引き起こされる。あるいは熟女売春は「女を取り戻したい」から。ほかにもホームレスの高齢化や孤立死といった現象も、それらの因果の双方に「寂しさ」があるように思える。すぐキレる老人は、老化による生理現象もさることながら、かくありたいという老後に対する美意識の欠如も一因だという指摘には考えさせられる。
　すぐ明日の自分のことではないとだれが言えるだろう。ハードルは低い。

書名：老人たちの裏社会
著者：新郷 由起
発行：宝島社
定価：1300円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代～60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」（http://www.zakzak.co.jp/）で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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