一度病気になったら社会に戻れない?
推しと福祉に救われて、人生を取り戻したおひとり様の実録マンガ!
KADOKAWAから発売された『統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません) 推しと福祉に救われて社会復帰するまでの劇的1400日』(著:ズミクニ、監修:岩波明)は、統合失調症を発病したズミクニさんが自身の体験を描いた「笑って泣ける明るい精神疾患コミックエッセイ」。
双頭のユニコーンが黄色い歯車に押しつぶされている......。
これが発病後のズミクニさんが病院で見た光景だ。巨大な唇、存在しないストーカー、世界を覆う金色の縁......。様々な幻覚と妄想が生活に入り混じる。
発病前のズミクニさんは、絵を描くことを趣味にしているおひとり様のオタクだった。もともとは介護士として働いていたが、給料トラブルが原因で無職だった頃に発病。そして1400日間におよぶ闘病生活が始まった。
幻覚と妄想とは別に、意欲がなくなってしまう陰性症状にも苦しめられた。SNSで個人情報や怪文書をばら撒いたり、部屋をぐちゃぐちゃに荒らしたりしたこともあった。
タイトルの「理解ある彼君」とは、窮状にある人の社会復帰・社会生活を積極的に助けるパートナーのことを指す言葉。しかし、そんなパートナーはいない。ズミクニさんの社会復帰を支えたのは、周囲の人々と福祉制度、そして「推し」の存在だった。
症状を自覚していなかったズミクニさんは、友人たちからTwitterのDMで「Twitterやめてメンタルクリニック行ってきな」「メンタルクリニック受診した方がいいよ」と勧められてクリニックにやってきた。しかし、「予約がないと受診できないんです」と門前払いをくらう。
そうこうするうちに、症状はますます悪化。はだしで路上に座り込んでいたところ、通りすがりの親切な夫婦が救急車を呼び、病院にたどり着いた。ところが、問診を受けて薬をもらうだけで、「お帰りはあちらです 車いすをどうぞ」と帰されてしまう。
「スイマセン 私は母が統合失調症で 今幻覚が見えています 眠くても眠れません どうか寝かせてください」と支離滅裂ながら入院を懇願したが、受付職員は無反応。「車いす必要レベルってわかっているのに 何故帰す?」
帰り道、もはや思考することすら困難になっていたズミクニさんは交番に向かい、寝た。次に目が覚めたときは、閉鎖病棟の保護室(※1)に措置入院(※2)させられていた。
※1 自傷他害の恐れのある患者を隔離する為の病室
※2 入院させなければ自傷他害の恐れのある患者を都道府県知事の権限と責任において精神科病院に強制入院させる事
閉鎖病棟での生活は、眼鏡やペンの持ち込みすら制限される窮屈なものだった。気晴らしは深夜徘徊することくらい。制約が多くて暇すぎる。虚無の日々に気力を失いそうになる。
「妄想は収まってきているはずなのに またおかしくなりそうだ せめて ほんの少しでもいい 心の拠り所が欲しい」
そんなある日、閉鎖病棟に聞き覚えのある音楽が流れていた。それはズミクニさんが「推し」ているバンドの曲だった。ズミクニさんはハッとした。
「ライブ行けるまで頑張らないとな」。退院してライブに行くため、患者として模範的な生活を送ることを誓った。心の拠り所が見つかったのである。
「推し」のライブに行きたい気持ちで無気力状態から脱したズミクニさん。しかし、社会復帰までの道のりは平坦ではなかった。はたして、ズミクニさんはどんな劇的1400日を歩んできたのか――?
■ズミクニさんプロフィール
思いついたら即行動な介護福祉士。32歳の時に統合失調症を発症して措置入院となる。統合失調症の陽性症状や陰性症状あるいは鬱に悩まされていたが様々な人々のおかげで寛解の道へと進んでいく。この道のりを他の方に知ってもらえるきっかけになればと実録漫画を描く事にした。
■岩波明さんプロフィール
いわなみ・あきら/1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒。昭和大学医学部精神医学講座主任教授(医学博士)。昭和大学附属烏山病院長。主な研究分野は精神疾患の認知機能障害、発達障害。著書に『狂気という隣人 精神科医の現場報告』(新潮文庫)、『発達障害』(文春新書)などがある。
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