本を知る。本で知る。

「図書館奇譚」 村上 春樹著

  村上春樹の小説は子供のころ母親が寝る前に読み聞かせてくれた昔話や童話と同じなんだ、といったら世界中のファンから叱られるだろうか。コワーい、不思議な世界にワクワクぞくぞくし、オシッコをちびりそうになりながら、続きをせがんだ物語の匂いである。
 市立図書館で『オスマン・トルコ帝国の収税政策』なる本を借りようとした「ぼく」は、奇妙な老人に地下の牢屋に閉じ込められる。そこで借りた本を暗記するまで読め、という。地下牢には「羊男」と「美少女」がいて、おいしい食事やおやつをくれる。
 羊男が言うには、1カ月後には頭をのこぎりで切られ、脳みそをちゅうちゅうと吸われてしまう。逃亡がバレたら羊男が毛虫の壺にほうりこまれるらしい。ぼくと羊男は老人が唯一眠る新月の夜に脱出を図るのだが…。
 80年代の名作短編にドイツの気鋭画家がイラストをつけたアートブック。神秘的な画風が村上ワールドに新たな息吹を吹き込む。

書名:図書館奇譚
著者:村上 春樹
発行:新潮社
定価:1800円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

記事一覧 公式サイト

夕刊フジの書評からの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?