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「吉田松陰―久坂玄瑞が祭り上げた『英雄』」 一坂 太郎著

  いまなお、思想家、教育者として有名な吉田松陰。だが、安政の大獄で刑死した当時の松陰は「知る人ぞ知る人物」程度だった。その松陰の死の利用価値に気づいた男がいた。高杉晋作とともに「松下村塾の竜虎」と称された松陰のまな弟子であり、義弟の久坂玄瑞だ。久坂は、長州藩をまとめ、他藩の志士たちと連動して尊王攘夷を実現するため、熱狂的な尊王主義者であり、幕府によって殺された松陰をシンボルとして祭り上げてゆく。松陰の遺墨を同志に配る、松陰の著作を藩校の教科書にする、松陰の葬儀を徳川幕府が加護していた仏式ではなく、神式で行う…など。松陰を神格化することで尊王攘夷活動を活性化させてゆく。
 本書は、大河ドラマでは描かれないであろう久坂像がわかる1冊。本書を読めば維新後、西郷隆盛が「久坂が生きていれば自分も元勲などといってえらそうにできなかった」と言っていたのもうなずける。

書名:吉田松陰―久坂玄瑞が祭り上げた「英雄」
著者:一坂 太郎
発行:朝日新聞出版
定価:720円+税

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