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「イスラーム国の衝撃」 池内 恵著

  ついに日本人が標的になってしまった。彼らの人質の映像公開は、われわれの恐怖をかき立てるが、すべて緻密な計算に基づいている。「処刑者の実行者も、入念に人選をし、時期を選んでいる」。そして「軍事介入を止めるよう要求する映像を流して一定期間を置いた上で、処刑して公開していった」。
 もともとオレンジ色の囚人服を着せられていたのは、キューバのグアンタナモ基地やイラクのアブー・グレイブ刑務所で虐待を受けた捕虜たちだ。「オレンジ色の囚人服を着せることで、グアンタナモやアブー・グレイブでのイスラーム教徒に対する不当な扱いに憤る者たちの目には、斬首や映像公開といった行為も『正当』に見えるという効果を狙っている」
 イスラム国関連の「便乗本」は数多くあるが、本書は一線を画す。「欧米に対抗するイスラーム」に思い入れをもつ日本の偏ったイスラム理解にとらわれない著者は、最適な解説者だ。

書名:イスラーム国の衝撃
著者:池内 恵
発行:文春新書
定価:780円+税

夕刊フジ

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