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「赤目姫の潮解」 森博嗣著

  著者が『すべてがFになる』でメフィスト賞を受賞し、デビューしてからすでに17年になる。デビュー当時、その作風は理系ミステリーと称され、多くの若者がクールで知的な小説に夢中になった。
 押井守監督でアニメになった『スカイクロラ』は海外でも高い評価を受け、次々とヒット本を出している。
 どの本を読んでも「あ、これは新しいな」と感じさせる何かがある。それは知識だったり、思考法だったり、アイデアだったりするのだが、読後、頭がよくなったような気分になれるのがこの著者の特徴といえるだろう。
 「潮解」という言葉は、固体が空気中の湿度を吸って液状化する様子を示すそうだ。この物語自体、その言葉のように変容し、流れていく。美しいイメージとシャープな思考で構築された知的で幻想的な物語。ファンには、こたえられない1冊だろう。

書名:赤目姫の潮解
著者:森博嗣
発行:講談社
定価:1785円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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