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「ショートスカート・ガール」加藤眞男著

 日本に「本格ミステリー」ジャンルを切り開いた作家、島田荘司さんの「巨大な知性集団、退職団塊の世代。この中には必ず天才がひそみます。姿を現してください」(原稿募集時の島田さんによる檄文から)という思いをきっかけに、2011年、"『ベテラン新人』発掘プロジェクト"が発足した。
 満60歳以上を対象に、本格ミステリー作品を募った前例のない"新人賞"。はたして、島田さんの思惑通り、事務局を担当した講談社の予想を上回る217本の作品が集まった。
 受賞作に選ばれたのは同書。著者は、プロシェクトに3作を応募していて、選者の島田さんが、このうち受賞作ともう一編を「全応募作のうちの1位と2位」(島田さんの総評より)に選ぶほどのハイレベルだった。
 作品の中身は、15年前の電車内での盗撮事件を発端に、当時の被害者女性が、こんどは電車のなかで痴漢に対して過剰防衛をしてしまう。この事件が意外な展開を見せていく―現代世相にもマッチする題材を扱いながら、最後にはあっと驚くどんでん返しが待っている。軽妙な語り口とあいまって、本格ミステリーを読みなれない方にも、きっと楽しんでいただけると思う。
 昭和49年に大学を卒業後、サラリーマン生活を経て現在は会社を経営している著者。「完璧な技量を誇る親爺が、期日通りに納品してくる工業製品を思わせた」ー島田さんの賛辞がすべてを語っている。新たな団塊の星、ここに誕生。


書名:ショートスカート・ガール
著者:加藤眞男
出版社:講談社
定価:1365円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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