本を知る。本で知る。

「あなたへ」森沢明夫著

高倉健が盟友の降旗康男監督とタッグを組んだ20作目は、富山から長崎まで旅をするロードムービー。人生の光と影、一期一会の出会いと別れが切ない。
 富山の刑務所で指導技官をしている倉島英二(高倉)は、亡き妻の洋子(田中裕子)が遺した手紙を受け取る。手紙には、故郷の海を訪れて散骨してほしい、という想いが記されていた。
 キャンピングカーで旅に出た英二は、途中で元中学教師の杉野(ビートたけし)や、イカ飯の実演販売をする田宮(草なぎ剛)と出会う。彼らの人生に触れながら、目的地の漁港にたどり着くのだが・・・。
 映画も感動的だが、映画脚本を原案に、森沢明夫氏が創作した小説もよくできている。英二と洋子の夫婦愛だけでなく、旅の途中で出会う杉野や田宮の生い立ちと人生模様が際立つ。放浪の俳人として有名な種田山頭火の句が多く引用されているので、山頭火ファンは必読。
 (映画評論家・垣井道弘)


書名:あなたへ
著者:森沢明夫
出版社:幻冬舎文庫
定価:630円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

記事一覧 公式サイト

夕刊フジの書評からの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?