読むべき本、見逃していない?

日本の五名城とはどこだろう?

  • 書名 日本の城の謎<築城編>
  • 監修・編集・著者名井上宗和 著
  • 出版社名祥伝社
  • 出版年月日2019年8月20日
  • 定価本体690円+税
  • 判型・ページ数文庫判・284ページ
  • ISBN9784396317621

 城マニアにとって最近一番の関心事は、名古屋城がどうなるか? である。木造での建て替えを進めようという名古屋市長の前に、難関がいくつも現れた。現在の城は戦災で焼けた天守閣を戦後コンクリート造で復元したもの。木造で建て替えるとエレベーターは作れないことから、障がい者団体などからクレームがついた。次に石垣の保全方法が決まらず、文化庁に事業許可を申請するめどが立っていない。本丸御殿が復元され、往時がよみがえりつつある名古屋城問題はまさに正念場を迎えている。

日本の城はすぐれている

 本書『日本の城の謎<築城編>』(祥伝社黄金文庫)は、1955年に日本城郭協会を設立、日本とヨーロッパの城郭研究をライフワークにしてきた井上宗和さんが書いたものだ。昭和61年(1986)に刊行されたものが新装版として出た。井上さんは2000年に亡くなられた。現在の空前の城ブームを知ったら、さぞ喜ばれただろう。

 『ヨーロッパの城』などの著書もある井上さんは海外の城にも詳しかったが、「すぐれた城はすぐれた文化を持った民族にしか造れない」と、日本の城には絶対の自信と誇りを持っていた。

 本書の章タイトルと取り上げている城を見ると、城マニアならずとも興味がわくだろう。

 1 なぜ秀吉は城攻めの天才と呼ばれるのか 戦国時代の悲惨、鳥取城攻城戦の謎
  長篠城、鳥取城、高松城、上田城
 2 なぜ名城には人柱伝説があるのか   伏見櫓に十六体の白骨、江戸城人柱の謎
  江戸城、江戸城伏見櫓、松江城、郡上八幡城、宇和島城
 3 ほんとうに信玄は城を造らなかったか   武田家の埋蔵金、躑躅ヶ崎館の謎
  舞鶴城、躑躅ヶ崎館、要害山城、積翠寺、金沢城、春日山城
 4 なぜ信長は安土城天守閣を築いたのか  はじめての天守閣・多聞城の謎
  安土城、観音寺山城、本能寺、大坂城、多聞城
 5 なぜ抜け穴伝説が生まれたのか   井戸が入口だった!? 姫路城抜け穴の謎
  姫路城、宇和島城、龍光院、熊本城、江戸城、金沢城
 6 なぜ大坂城の土塁は石垣に変わったのか 驚異の技術、大坂城巨石運搬の謎
  大坂城、清洲城、小牧山城、名古屋城、二条城、江戸城
 7 なぜ難攻不落の小田原城は落ちたのか  戦乱の最盛期、小田原無血開城の謎
  小田原城、早雲寺、堀越館、韮山城、石垣山一夜城

ヨーロッパの築城術を取り入れた信長

 来年(2020年)のNHK大河ドラマの主人公は明智光秀だ。当然、安土城と本能寺は出てくるだろう。本書第4章ではヨーロッパの築城術を取り入れた信長、そしてなぜ安土城は"幻の天守"とよばれるのか、詳しく解説している。

 本書で取り上げている城の中で、評者が好きなのは姫路城と金沢城だ。本書第5章によると、金沢城には1キロの抜け穴があったという。また姫路城の抜け穴はついに発見されていないそうだ。そんな構造の不思議さがより謎めいた雰囲気を漂わせているからだ。

ガイド持参でも迷った山城

 この春にBOOKウォッチで紹介した『一度は行くべき 行きにくい城』(双葉社スーパームック)によると、最近は「山城」の人気が高まり、「土の城」も市民権を得ているという。地図がついた同書を片手に秋田県能代市の檜山城をゴールデンウイークに訪ねてみた。城の変態度の偏差値は58.5。「迷遺構を抱える巨大山城」ということで、評者もさんざん迷ってしまった。

 そこで行きにくい城の前に、まず本書で紹介している城に行ってみようと思った。それほど、本書が紹介するエピソードはどれも興味深い。松江城は一度行ったことがあるが、2015年の国宝指定直後だったので大混雑。そのため人柱伝説も知らぬまま通り過ぎてしまった。

 井上さんによると、「まるで死神にとりつかれたような松江城主の系譜と、難航をきわめた築城工事がからまって」さまざまな人柱伝説が生まれたという。

 ところで日本の五名城とはどこだろう。井上さんは、普通、名古屋城姫路城熊本城を三名城といい、江戸城大坂城は別格だ、と書いている。そしてこの五つを指して五名城というそうだ。

 さらに国宝五城というのもある。国宝指定を受けている姫路城彦根城犬山城松本城松江城である。五名城と国宝五城。あなたが好きなのはどちら?

 評者はこの十の城の中で、行ったことがなかったのは熊本城だけだったが、惜しくも地震で壊滅的な被害を受け長期間の修理工事にかかっている。順調な工事の進捗を望むばかりだ。

 

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