読むべき本、見逃していない?

江戸時代、金沢の地図は「デジタル技術」で作られていた

  • 書名 古地図で楽しむ金沢
  • 監修・編集・著者名本橋宏史 編著
  • 出版社名風媒社
  • 出版年月日2017年9月 7日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数A5判・161ページ
  • ISBN9784833101745

 2015年の北陸新幹線開通によって金沢への観光客は約2倍になったといわれる。ホテルの開業も相次ぎ、数年後には名古屋を上回るキャパシティーになるとの予測もある。日本有数の観光地に変貌しようとしている金沢のさまざまな古地図をもとに歴史を解説したのが本書『古地図で楽しむ金沢』(風媒社)だ。「加賀百万石」といわれ、すべての藩の中で最大の石高を誇った加賀藩の城下町。ユニークな歴史都市・金沢の近世、近代、現代の歩みがわかる。よりディープな金沢散策にふさわしい一冊だ。

 古地図の中でも目を引くのが、1828年に完成した「金沢十九枚御絵図」だ。19枚に分割され、1枚が約2.7メートルもある大きな地図だ。非常に精密で、現在の地図との誤差が約3.5メートルしかないという。石川県立図書館のウェブサイトから見ることができ、拡大してグーグルアースと比較すると面白いそうだ。当時どうやって、これほど正確な地図を作ることができたのか。執筆者の一人、渡辺誠氏(富山市天文台学芸員)は「江戸時代には珍しいデジタル技術を駆使した」からだと解説している。地点はすべてXY座標で表示され、その座標をプロットするように地図が作られた。また最先端の三角関数も使われたという。

 金沢はもともと加賀一向一揆を支配する坊主・土豪らの信仰拠点である本願寺直営の末寺「金沢御坊」があった。秀吉政権の重鎮、前田利家が金沢に入り、金沢の城下を整備した。二代前田利長が徳川との合戦を想定して構えた二重構造の「惣構堀」で城を取り囲んでいる。こうした城下町の変遷をカラフルな地図で解説している。

軍都、学都、文豪を輩出

 近代についての記述も充実している。金沢は師団司令部が置かれ「軍都」、また旧制第四高校や金沢医科大が置かれ「学都」とも呼ばれた。また3人の文豪、泉鏡花、徳田秋声、室生犀星の出身地でもある。各記念館の学芸員も執筆し、ゆかりの地を地図でたどると楽しい。

 編著にあたった本橋宏史氏は石川県立歴史博物館学芸課長を経て、現在、金沢星稜大学教授。学芸員同士のネットワークを活用し、30人以上がさまざまな分野で執筆している。

 版元の風媒社は、金沢ではなく名古屋の老舗出版社だ。本書も『古地図で楽しむなごや今昔』『古地図で楽しむ尾張』『古地図で楽しむ三河』『古地図で楽しむ三重』と続くシリーズの一冊。  

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