いかに上手に話して自分を魅力的に見せるか――世の中にはプレゼンの方法や、自分の売り込み方についての本があふれている。ところが本書のタイトルは、その逆を行っている。『自分のことは話すな』(幻冬舎新書) というのだ。「仕事と人間関係を劇的によくする技術 」という副題が付いている。
本書の帯に著者の吉原珠央さんの顔写真が掲載されている。美人だ。その口元から「あなたの話はムダだらけ」と大きなキャッチコピー。その通りです、すみません、と思わず謝りそうになる。
吉原さんが本書を書くことになったきっかけは、自身のイライラがきっかけだ。
「なぜこの人は自分のことばかり話したがるのだろう」 「なぜこの人は余計なことばかり話すのだろう」 「なぜこんなに無駄な雑談につき合わされなくてはならないのだろう」
そして、こう続ける。
「そもそも、『相手は自分の話に大して興味を持っていない』という客観性を持ち合わせている人は、どれくらいいるでしょうか」
にっこり笑みを浮かべる吉原さんから、バッサリ言われると、しゅんとなる。自分に興味を持ってもらおうと、自分のことを話したが、実はムダ話、余計な時間を使わせてしまったんだ・・・。本書には、そうならないためのノウハウが詰まっている。
「第一章 余計な話をすることが無意味なワケ」「第二章 ムダな会話をせずに相手の心を開く」「第三章 『話し癖』を直すだけで全てが劇的によくなる」に分かれている。
それぞれに小項目が並んでいる。「雑談が多い人ほど自分に甘い」「手を止めて雑談をする美容師にはなるな」「話したいことの5割をカットせよ」などは、その通り、と思う人が少なくないだろう。
意外なのは「プライベートなことを聞かない方が失礼である」と言い切っていること。もちろん相手との距離を縮めたいときだ。いきなり「独身ですか」と聞けば角が立つが、聞き方は色々ある。そのあたりは細かく例示されていて参考になる。「プライベートなことを話題にできたら、関係性を深められるチャンスが一気に広がる」。逆に言えば、それが、自分からペラペラ自分のことを話さないほうがベターな理由でもあるのだろう。
吉原さんはイメージコンサルタント。プレゼンやコミュニケーションをテーマに企業向けの研修や講演活動をしている。『「また会いたい」と思われる人の38のルール』など何冊かの著書がある。ストレスフリーをコンセプトにした化粧品やファッションを扱うブランドも立ち上げて会社経営もしているとうから、なかなかやり手の女性のようだ。
本書の経歴欄には生年や出身地、出身校などは記されていない。会った時に上手に聞いてほしいということかもしれない。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?