読むべき本、見逃していない?

東大卒の絵本作家、「子どもこそ私の先生です」

読みたい絵本

 絵本好きなら思わず手を伸ばすに違いない。『読みたい絵本』(マイルスタッフ)。全国の絵本屋さん54軒がすすめる4冊ずつに加えて、「のりもの」「たべもの」「いきもの」「奇想天外」「身近な人」をテーマに選んだ絵本など、おすすめの500冊あまりが紹介されている。わかりやすいガイド本だ。

登場人物はみんな笑顔

 本書は絵本雑誌「momo」編集部の編集。全国の絵本美術館、影響力のある家庭文庫なども紹介されている。さらに、かこさとし、佐々木マキ、田島征三、今森光彦、鈴木まもる、高畠那生、シゲタサヤカ、さいとうしのぶ、たしろちさと、鈴木のりたけ、舘野鴻など人気絵本作家の仕事場拝見やインタビュー、それぞれのおすすめの絵本も掲載されている。

 まず驚くのは、絵本専門の書店が全国に多数あるということだ。東京のクレヨンハウスあたりなら有名だが、そのほかの大都市はもちろん、地方都市にも個性的な絵本店がたくさんあることを知る。その写真も掲載されている。絵本店は、当然ながらおしゃれで夢があり、かわいい店が多い。行ってみたくなる。都内だけでも実に多くのユニークな絵本店があることがわかって、ワクワクしてしまう。

 本書の特徴の一つは、登場している人物が笑顔であること。絵本店の経営者はみんなニコニコしていて、人柄がよさそうだ。絵本作家も、おおむね笑顔で写っている。絵本の世界に囲まれていると、自然に表情が和やかになってくるということか。

焼け跡のバラックが原点

 先ごろ亡くなった絵本作家、かこさとしさん(1926~2018)も登場している。東大の工学部を卒業して民間企業の研究所に勤めながら、セツルメント運動、児童会活動に従事。1973年に退社後、作家活動を本格化させた。

 原点になっているのは戦後の焼け跡のバラックだという。近所の貧しい子供たちに、紙芝居のように絵を描いて読んで聞かせていた。面白くないと、子供たちは興味を示さない。別な遊びを始める。

 「私はそこで鍛えられたのです。批評家が私の絵をどう評価しても、そんなことは関係ない。その作品が面白いかどうかは子どもたちが教えてくれた。子どもこそ私の先生です」

 そういえば本欄では、『もしも魔法が使えたら――戦争孤児11人の記憶』(講談社)を紹介したことがある。東京大空襲で両親を亡くして孤児になった星野光世さんが、同じような境遇だった人たちの体験を絵と文章にしたものだ。実話なので、絵本とは言えないかもしれないが、かこさんなら、どう評価しただろうか。

 本欄では『チックタック~約束の時計台~』(幻冬舎)なども紹介している。

  • 書名 読みたい絵本
  • 監修・編集・著者名momo編集部 著
  • 出版社名マイルスタッフ(インプレス)
  • 出版年月日2019年4月15日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数B5変形判・160ページ
  • ISBN9784295402879

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