読むべき本、見逃していない?

羽生善治さんと羽生結弦さんの「羽生」はなぜ読み方が違う?

  • 書名 日本人のおなまえっ! 日本がわかる名字の謎
  • 監修・編集・著者名NHK番組制作班 編、森岡浩 監修
  • 出版社名集英社インターナショナル 発行、集英社 発売
  • 出版年月日2019年2月 5日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数四六判・160ページ
  • ISBN9784797673685

 本書『日本人のおなまえっ! 日本がわかる名字の謎』(集英社インターナショナル 発行、集英社 発売)は、NHKの人気番組『ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!』をもとに取材班が単行本にしたもの。古舘伊知郎さんが司会を務め、レア名字、難読名字など様々な名字の由来などについて楽しく解説する番組だ。木曜19時半からというゴールデンの放送枠だが、トレビア的な新発見や薀蓄を散りばめており、世代を超えて視聴者に支持されている。

埴生が取り持つ深い縁

 本書はそのエッセンスをピックアップした形となっている。世間でよく知られる芸能人やスポーツ選手の名前から入って話が展開されるのでとっつきやすい。

 将棋とフィギュアスケートの「羽生」という名前。片や「はぶ」、他方は「はにゅう」。読み方が異なる。「はぶ」のルーツは種子島や屋久島、「はにゅう」は宮城県に多い。

 番組の取材班が種子島に出かけて調べてみたら、狭い島に「はぶ」姓が70世帯も暮らしていた。将棋の羽生善治九段の祖父も種子島出身だという。「はにゅう」が多いのは宮城県、中でも登米市だが、羽生結弦選手の父も同市で生まれ育った。

 どちらも大元では「埴」が関係しているらしい。埴輪などを造る赤っぽい土のことだ。それが採れるところが、「埴生」。その読み方が、「はに・ふ」から「はぶ」になったり、「はにゅう」になったりということのようだ。さらに詳しいことも本書に書かれている。

 日本書紀」によると、埴生で土器をつくり、神を祀ったため、天下を治めることができていると記されているそうだ。「羽生」という苗字の由来は「不世出の天才二人にふさわしいものだった」と、本書は解説している。

藤井聡太は天才の末裔?

 将棋の延長で言えば「藤井」は朝鮮の王族の末裔から始まった名前だという。元々は「葛井」(ふじい)と呼ばれた。大阪の藤井寺市には葛井寺がある。藤井一族は百済からの渡来人。英才を輩出し、「大宝律令」編さんの中心にもなったという。

 何年か前、中国で古代の日本人の墓誌が見つかり話題になった。現地で亡くなった遣唐使か留学生の墓誌と見られた。「生まれつき優秀で、国命で遠くにやってきて、一生懸命努力した。学問を修め、正式な官僚として朝廷に仕え、活躍ぶりは抜きんでていた」ということが書かれていた。埋葬者は葛井氏の末裔、「葛井真成」ではないかとも言われた。

 本書は「藤井聡太七段は、そんな葛井一族から始まった名字を持っているのだ」と強調している。

 名字を扱ったバラエティー番組は、過去にも民放であったが、今回はNHKということで、手軽に「教養」を楽しめる。

 J-CASTでは名字についてはしばしば記事にしている。「ラグビー選手『五郎丸』で素朴な疑問『〇郎丸までいるの?』 ニッポンの名字(最終回)」「ノーベル賞・本庶佑氏の『姓が珍しい』『全国におよそ30人』情報も」「ISSAの珍しい本名『邊土名一茶』 弟は二茶、茶三海...その『深い』意味は?」などだ。

 またBOOKウォッチでも『日本人の名前の歴史』(吉川弘文館)を紹介している。「賜姓」を巡る上下関係、女性には長く実名がなかったこと、明治になって総人口の9割以上を占める「平民」にも名字を持つことが公的に許可され大混乱が起きたことなど、名字を巡る本当の教養が得られる。

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