本書『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)は、記事執筆時点の2018年末にはアマゾンのビジネス実用カテゴリーで5位にランキングしているベストセラーだ。同年8月に刊行され年末には、9刷28万部(電子書籍含む)を突破したというから、すごい勢いで売れている。
この手のビジネス啓蒙書には手を出さないことにしているが、「現実」はアウトプットでしか変わらない、ポジティブな言葉を増やすだけで幸せになれる、書けば書くほど、脳が活性化する、など著者・樺沢紫苑さんの主張にうなづける点も多く、買い求めた。
樺沢さんは精神科医のかたわら、著述活動をしている。評者がもっとも共感したのは、「インプットとアウトプットの黄金比は3:7」という点だ。ほとんどの人はこれが逆転していて、インプットが過剰だというのだ。樺沢さんは「書く」ことで、脳幹網様体賦活系(RAS、Reticular Activating System)が刺激され、脳全体が活性化すると説く。
評者も本を多く読んでも、どんどん忘れていくのが常だった。本欄で本の紹介を書くようになり、内容が頭に定着し、その後別の仕事にも役立つようになった。
「書く」ことについて、さらに多くのポイントを挙げている。「たくさん読んで、書く」以外に上手な文章を書く道はない、だから本の感想をSNSにアップすることを勧める。また気がついたことをメモする、アイデア出しには100均カードが欠かせない、思考の軌跡は一冊のノートにすべて残すなど、本書ではアウトプットの具体的なポイントを80あまり提案している。
実をいうと評者は以前、この手のビジネス啓蒙書にいろいろ手を出してきたが、どれもあまり参考にならなかった、という思いがある。内容もさることながら、それらの著者の実績が当該本以外あまりないことも不思議に思うようになった。本に書いてあることを実践すれば、彼らはもっと多くの仕事をし、有名になっているだろうに。
その点、樺沢さんは違う。40歳を過ぎてから「インプットとアウトプットの黄金比は3:7」を実現し、それから10年で28冊の本を書き、メルマガを3000通以上発行し、動画を1500本以上更新してきたという。また脳科学の観点からの説明が説得力をもつ。
アウトプットが当たり前の習慣になれば、過剰なストレスや悩みは解消し、病気になる人が減る。その思いから精神科医として、本書を書いたそうだ。
日記を書く、健康について記録する、読書感想を書くなど、すぐにでも出来るアウトプット力を高めるトレーニング法も書かれている。
新しい年からアウトプットを実践し、さらに実りの多い年にしてみたらどうだろう。
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