大学生が本を読まない。何とかしたい。そんな思いで書評の専門紙「週刊読書人」が紙面で新たな試みをして単行本にした。それが本書『書評キャンパスat読書人2017』(読書人刊)だ。
大学生に書評を書いてもらう。それを紙面で掲載する。はたして応募があるのかと心配したが、意外にも意欲的な学生の投稿が集まってきた。
企画は2017年4月にスタート。毎週、途切れることなく連載が続いている。その一年分をまとめたのが本書だ。
どんな大学の学生が参加しているか。
帝京大学、城西大学、神戸女学院大学、武庫川女子大学、城西大学、関西学院大学、立命館大学、近畿大学、大正大学、明治大学、文教大学、関西大学、青山学院大学、愛知学院大学、神戸松蔭女子学院大学、中京大学、名古屋市立大学、名古屋学院大学、都留文科大学、金城学院大学、金沢星稜大学、上智大学、立教大学、明治学院大学、甲南女子大学、愛知大学、北九州市立大学、就実大学、大阪樟蔭女子大学、日本女子大学、大阪成蹊大学...etc。
どんな本が掲載されているか。
重松清『小学五年生』、宮崎駿『本へのとびら 岩波少年文庫を語る』、恩田陸『蜜蜂と遠雷』、東浩紀『ゲンロンO 観光客の哲学』、小川洋子『不時着する流星たち』、朝井リョウ『少女は卒業しない』、伊坂幸太郎『SOSの猿』、フランソワーズ・サガン『悲しみよこんにちは』などなど。
全体に軽いタッチのベストセラーや話題の本が多いが、ポツポツと真面目系、ロングセラーも登場する。
本書の特徴は、単に大学生による書評というだけではない。さらに二つある。
ひとつは、取り上げられた作品の著者や編集者が、大学生の書いた書評にコメントを寄せていること。たとえば『がん消滅の罠 完全寛解の謎』を取り上げた書評については、著者の岩木一麻さんが「ネタバレなしで本作の核心である『嘘』について見事にまとめ上げて頂き、ありがとうございます」。『そこに月があったということに』の著者、鈴木正枝さんは「この書評を読んだとき、一瞬驚くと同時に、次第にそれが嬉しさに変わっていった」。
もう一つは、学生から届いた原稿に編集部がどんな注文を付けたか、指導・添削例が掲載されていること。「主語がない」「改行したほうがいい」「同じ表現が混在」「印象的な導入だが、やや唐突な感じも与える」など懇切丁寧だ。
書評を書いた学生は実名で登場する。現在の関心事なども添えられている。同じ世代の仲間が何を読み、どんな感想を書いているか。それを著者や編集者がどう受け止めているか。いろいろな意味で参考になる。大学生協の書籍コーナーにはぜひ置いてもらいたい本だ。
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