久しく続く健康ブーム。いまは筋トレが注目の的のようだ。その流れを受けたというNHKの「みんなで筋肉体操」が予想外に好評で年明けに第2弾が放送されるという。同番組の出演者らのような筋肉つくりはなかなかマネできないが、本書『ぷるトレ』(飛鳥新社)によると、簡単なトレーニングで筋肉を刺激すると「産熱機能」が上がって体の不調の改善につながるという。
気温が低い冬場はとくに、体温も低下して体が冷える。そうすると血流が悪くなり内臓の働きが鈍るばかりか免疫力が落ちて、不調を感じたり病気になったりしやすくなる。冷えが心配な人たちは、そうならないよう食事に注意をしたり、入浴を工夫するなどのほか、カイロを衣服のなかにしのばせ予防をこころがける毎日だ。
ところが「冷え」について、さまざまな人たちから悩みを聞いてきた著者によると「『体を温めなきゃならないのは分かっているのだけど、なかなか体が温まってこない』という悩みを抱えている人はとても多い」という。外から盛んに温めても冷えや低体温が解消しないのは、体の内部で自力で熱を生む「産熱機能」が低下しているから。現代ではそれが著しく、異常なほど低レベルまで落ち込んでいる人が少なくないという。
著者は、東京都内で開業している鍼灸接骨院院長。ある時、過労から高熱を発し、それは「死」を覚悟するほどだったが、一晩たっぷり汗をかいたあとに熱がすっかり引いた経験をし、身体のピンチに体をふるえさせ体温を上げて体を守る「沈黙の筋肉」の存在を考えるようになったという。
多くの人が経験していることだろうが、寒さを感じると勝手に体がふるえだすことがある。これは体温を上昇させるための自立神経性の発熱運動なのだが、著者はこのことと自分の高熱経験を合わせ、運動神経を利用して、ふだんあまり動かさないような筋肉をふるえさせることで体温をコントロールする発熱法を考案。「ふるえるトレーニング(ぷるトレ)」と名づけて、その普及に努めている。本書の後半で図解を添えてやり方を詳しく説明している。
「ふるえ」と「熱」の密接な関係を説明するため著者は「男性のみなさんならすぐ分かると思いますが」とことわりながら、寒い季節の排尿時にふるえがくることに言及。「急に熱が失われたから、体をブルブルッとふるわせて熱を生み出そうとしているのです。つまり、排尿直後のふるえは、失われた体温を取り戻そうとしている『体の無意識の反応』であるわけですね」。
冷えや低体温の悩みはかつては寒い季節に限られたものだったが、現代では、エアコンの普及で、蒸し暑い夏でも不調を訴える人が増えているという。それどころか、いまはむしろ、夏の方が冷えの悩みが深刻かもしれない。というのも、暑い戸外と寒い室内との行き来が頻繁になるほど体温を調整する自律神経が疲弊し、気温に対応する能力が弱くなってしまうからだ。
こうした住環境の変化、気候の変化で、冷えや低体温に悩む人たちの範囲や層も拡大している。かつては女性や高齢者が相場だったものだが、各年齢層の男性のなかにも不調を訴える人が多くなっているそうだ。また、子どもの平熱をみると36度台に達しない児童も増えており、問題は日本人全体に広がっている。著者は、発熱力を低下させてしまっている日本人は8割方に上るのではないかとしている。
国際的にみても日本人の体温は低く、たとえば、37度を超えると日本ではたいてい「熱がある」とされるが、欧米では37度前後が平熱とされるという。この37度前後といのは、エネルギーの代謝やホルモン・酵素の生成などの体内活動が効率よく進む状態であり、生化学的にも人がもっとも快適に生命活動を行える状態。ところが、日本では、子どもの平熱が低下傾向にあるように、大人の平熱が下がり続けている由々しき状態にあるのだ。
著者が提唱する「ぷるトレ」を1日1分でもやれば、人生が変わるという。
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