平成が終わるということで、各出版社とも関連書の刊行や準備に力を入れている。そうした中でも特に熱心なのが宝島社だ。すでに何冊か出しているが、最新刊が本書『美智子さまの60年――皇室スタイル全史 素敵な装い完全版』だ。ファッションに注目して美智子さまのヒストリーを振り返っている。
同社はすでに2017年秋に『美智子さま 永遠に語り継ぎたい慈愛の言葉』を、16年にも『美智子さま 100の言葉』を出している。ファッションについても熱心で、17年に『美智子さま 品のある素敵な装い 58年の軌跡』、18年春には『美智子さま 凛とした素敵な和装 59年の歩み』を刊行している。本書はこうした蓄積やシリーズの延長線上にある。
美智子さまの「お言葉」と「装い」。この二つの角度から、国民の間で人気の高い皇后の実像に迫ってきたわけだが、本書は「60年」ということもあり、またいよいよ平成が終わるということもあって、シリーズの集大成と言える。
さまざまな大会や式典などで、多くの国民が美智子さまの到着を心待ちにする理由は、「その美しさはもとより、素敵な装いにある」のだという。女性の目には大きな関心事ということなのだ。「決して派手に着飾らず、上品な着こなしをされる美智子さまのお召し物を、エピソードとともに紹介する」というのが本書のコンセプトだ。
国内各地を訪れる時は、地元の名産ゆかりの装いを心がけているそうだ。福岡県の植樹祭に出席したときは、名産の久留米絣をあしらったアンサンブルだった。それに気づいた地元の女性が歓声を上げたという。とにかく、気配りが半端ではない。
外国を訪問する前には相手国の事情を勉強してから服装を決める。初めて公務で米国を訪問した時は、16日間のお召し物をご自分でリストにまとめておられたという。和服を着る時は、ここ10年ほどは「お香の煙の色」がお好みだそうだ。控えめなエレガンス。周囲に過剰な刺激を与えない色だという。
美智子さまがお召しになったアクセサリーや着物、帯などは次の世代に受け継がれている。それらの写真も本書には掲載されている。
類似の書籍は、朝日新聞出版や双葉社などからも出ている。これから大型書店では平成の皇室コーナーもできることだろう。
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