スーパーコンピューターやAI(人工知能)が活用される場や機会が増え、その能力についてしばしば人間の脳と比較して述べられことも多くなっている。本書『人間関係が良くなる! 脳の疲れをとる本』(方丈社)によれば、人間の脳は「スーパーコンピューター超のはたらきをもつ」スグレものなのだが、マシンとは違う生き物であり、さまざまなことが複雑化する現代では知らず知らずのうちに、疲れがたまっている可能性があるという。
社会のいろいろな場面で使われる「心」は、情緒のはたらきのことだが、これも脳の影響を受けている。また、人とのコミュニケーションは最も脳が使われる機会。現代のように高度な情報化が進んだなかでも、SNSの発達などで時には「つながり」を過剰ともいえるほど求められるようになっても、脳のはたらきによって、心身のあらゆる機能が一定に保たれているという。
だが時代とともに脳にかかるストレス要因が多様化、複合化。もともとはストレスを刺激にして適応力の訓練をしてきた脳も疲れをみせるようになり、近年、脳の健康を保とうという「ブレインヘルス(脳の健康)」に注目が集まっているという。
本書の監修者、古賀良彦さんは杏林大学名誉教授の精神科医で、NPO法人「日本ブレインヘルス協会」理事長を務める。古賀さんは、あとがきで「コミュニケーションは最も脳を使うことなので、脳研究の分野では、"ソーシャルブレイン"と呼んで、前頭葉など脳のはたらきが研究されている。コミュニケーションの悩みや問題は、高次機能を有する脳をもつ人ならではと言え、悩みを自覚している時点で脳がストレスを受け続け、休みを必要としている可能性が高い」と指摘する。
本書のなかでは「休みを必要としている可能性」について、何度も例を挙げて示して注意を促す。脳は体のさまざまな器官の疲労の具合をチェックして健康をキープする調整役を担っており、脳そのものはがまんづよく、めったに悲鳴をあげることがないという。だから、脳の疲れについて自覚症状がなかなかないわけだ。本書のタイトルは「脳の疲れをとる」となっているが、まずは、脳をストレスにさらさせ続けないことが重要だ。
本書では第一に「脳を疲れさせる『生活臭』を消臭することからスタート」と呼びかける。カビ臭やたまった洗濯物などがターゲットだ。脳がリラックス状態にあると、それを示す「α(アルファ)波」が観察されるが、その状態のときにカビ臭と無臭の蒸留水を嗅いだときを比べると、カビ臭ではα波が減少したという。洗濯物はためることで悪臭の原因にもなるが、生乾きの部屋干しもイライラ臭を生み、さらにはカビを呼び込むことにもなってしまう。また非喫煙者にとってのたばこのニオイもα波を著しく減退させるので、吸わない人は紫煙漂う場所は避けよう。
脳に余計なストレスを与えないよう環境に気を付けながら、次に心がけたいのは脳が喜ぶことをすること。古賀さんが行った実験で分かったそうだが、意外なことに、朝の「おめざ」にチョコレートコーティングされたバニラアイスがいいという。バータイプなら1本が適量。脳をリラックスさせ、日中の活動に備えてしっかり覚醒を促す効果があった。
さらに意外といえるのが、ホットグレープフルーツジュース。ホット(60度)、常温(10度)、水常温(10度以下)をそれぞれ、3分かけて飲み、簡単な計算問題をする実験で、ホットを飲んだときは最も問題達成数が多かった。受験生を持つ家庭に、秋~冬の追い込み時期の差し入れにおすすめという。
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