退社後まっすぐ家に帰らず、ふらふらと街で時間つぶしをする男性を「フラリーマン」と名付けたのが目白大学名誉教授の渋谷昌三さん。その渋谷さんの近刊『フラリーマンの心理を読む』(毎日新聞出版)を読み、かつて「フラリーマン」だった評者は、はたと膝を打った。「この本がもっと早く出ていたら」と。家に帰りたくない夫の心理が的確に分析され、妻へのアドバイスが円満な夫婦関係を守る役に立つ。
渋谷さんはフラリーマンを3つに分類している。 1 「アンビバレント型」 帰りたいのに帰れないタイプ。居酒屋などで時間をつぶしている。 2 「山頭火型」 自分勝手に遊んでいるタイプ。浮気をしている可能性も高い。 3 「帰宅恐怖症型」 単純に家に帰るのが嫌なタイプ。かなりの重症。
渋谷さんは、夫婦間の愛情が冷めると夫のフラリーマン化が進行し、さらに愛情が冷め、離婚に向かう負のスパイラルが発生すると警告する。妻はお釈迦様になったつもりで、夫に救いの糸を垂らしてあげましょうと、さまざまな心理テクニックを伝授している。
夫が帰りやすい家づくりとして、夫に個室(書斎)を用意することを勧める。夫の巣となるからだ。住宅事情で無理な場合は、居間に私物で夫のなわばりをつくるのはどうだろう。このほか、夫の衣服は夫自身にしまわせる、夫に家具を配置させる、テレビの前のソファに横並びで座ろう、などを提案している。
ところで、家にまっすぐ帰らず、うだうだと酒を飲むサラリーマンは昔から少なくなかったはずだが、なぜ今、「フラリーマン」として注目されるのだろうか。渋谷さんは30代、40代のフラリーマンの急増の理由として、「働き方改革」の影響を挙げる。労働時間の短縮により退社時間は早まったものの、その時間をうまく使えないというのだ。
フラリーマンの先輩として、そんな程度なら彼らにはまだ問題がないと思う。多少の寄り道には目をつぶってほしい。渋谷さんも「小一時間程度のフラフラは大目にみてあげよう」と書いている。アルコールが入るかどうかが、その見極めになるだろうとの渋谷説に評者も同意する。飲み屋も2軒目に行くようになると、黄信号だ。
本書の第4章は「家事と育児をする夫に育て直そう」としてさまざまなテクニックを披露している。妻だけでなく夫が読んでも有益なアドバイスに満ちている。
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