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お笑い界の「ホーキング」が語る障害者のこと

考える障害者

 著者のホーキング青山さんは「車イス芸人」だ。芸歴20年だという。時々テレビにも出ているから、見たことがある人もいることだろう。

 本書『考える障害者』(新潮新書)はその青山さんが、障害者の立場から、障害者にまつわる様々な問題について考え、自らの思いをつづったものだ。

世の中に何かを訴えたいという思い

 デビューしたのは1994年。ちょうどホーキング博士の本がベストセラーになっていたころだった。「同じ車イスだからちょうどいいだろう」という理由で命名されたという。だからもっと昔に生まれていたら「ヘレンケラー青山」や「アイアンサイド青山」(下半身不随の鬼警部)、もっと遅くだったら「乙武青山」なんて芸名になっていたかも、と本書の冒頭から笑いを取る。

 1973年生まれの青山さんは、「先天性多発性関節拘縮症」という生まれつき手足が未発達で変形して動かない障害があり、普段は電動車イスに乗っている。お笑い好きの少年で、しばしばライブに行っているうちに芸人さんたちと知り合いになり、大川興業の大川豊総裁からデビューを勧められた。最初は気乗りがしなかったが、辞めなかったのは、心のどこかに世の中に何かを訴えたいという思いが少なからずあったからだろう、と振り返っている。

 この20年間で世間の障害者への認識はどう変わったのか。障害者だからこそ書ける視点で改めてつづってみたい、というのが本書執筆のきっかけだ。

「考える葦」を踏まえて

 全体は7章に分かれているが、それぞれに興味深い論考が並ぶ。「『美談』を考える」という章では、「24時間テレビ 愛は地球を救う」のことを取り上げている。電波を使った壮大なチャリティー番組だ。それに対する「批判」と評されたNHKの番組も含めて、一言では言いにくい障害者からの感想を述べる。

 「『乙武氏』を考える」という章では、これまでの障害者像とは異なる姿を作ってきた乙武氏を分析し、離婚騒動にも触れている。「『やまゆり園事件』を考える」では、多数の犠牲者を出した犯行と、その意味について、メディアでは余り報じられない視点から論じている。

 著者が断っているように、「舞台の私とはちょっと違い、いたって真面目に書きました」。性急に声高な結論を出さずに、この件については、こういう面もあるのではないか、という形でいくつかの考え方を提示している。

 「考える障害者」というタイトルはパスカルの「考える葦」を踏まえているのだろう。そのタイトル通り、著者の「熟慮ぶり」がうかがえる。ホーキング青山は、こういう思いであのネタをしゃべっていたのか、ということを感じ取ってもらえれば、とも書いている。ふだんの「笑い」とのギャップに驚くファンも多いに違いない。

  • 書名 考える障害者
  • 監修・編集・著者名ホーキング青山 著
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2017年12月14日
  • 定価本体720円+税
  • 判型・ページ数新書・192ページ
  • ISBN9784106107467
 

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