本書『弁護士はBARにいる』(イースト・プレス)は、弁護士の法律相談とはどういうものかを知ってもらおうと、第二東京弁護士会所属の弁護士である著者が始めたYou Tube動画シリーズからスピンオフしたものだという。言うまでもなくタイトルは大泉洋主演の人気映画シリーズ「探偵はBARにいる」から拝借した。
悩みをかかえる社長さんがバーのマスターに相談し、マスターが解決策を示すという形で毎回進行する。訳あって今は弁護士登録を抹消している元弁護士が、隠れ家的なバーでマスターをしているという設定をしつらえている。弁護士資格のない者が弁護士業務をすることは法律で禁じられているから、実際に法廷に出るわけではない。「法的見地から申し上げると」というのがマスターの口癖だ。
4つのケースが紹介されている。その中の一つは親族経営企業の経営者の相談だ。妻との離婚、それに怒った創業者の妻である義母との対応、株主代表訴訟、二人の息子のどちらを後継者にするかの指名、息子の現行犯逮捕と、来るたびに社長はマスターに相談をもちかける。一難去ってまた一難というところだが、そのたびにマスター(弁護士)は的確なアドバイスを与える。
刑事事件はもちろんのこと、民事事件や小さなトラブルでも弁護士に相談すれば有益な解決策が得られると読者は思うだろう。著者によると、実際に法律では解決できない事案の相談も多く、カウンセラーの役割をすることもあるという。
司法試験制度の改革、ロースクールの創設によって弁護士が急増し、弁護士があふれているという話はくりかえし報道されている。BOOKウォッチでも『弁護士の格差』(朝日新聞出版)を紹介し、最近の弁護士を取り巻く様々な問題をお伝えした。
本書によって、弁護士の敷居を出来るだけ低くしたいという著者の狙いは達成されたと言っていいだろう。本当にこんなマスターがバーにいたら店は大繁盛に違いない。
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