貯金が少々ある。ゼロ金利だから何かに投資したい。株やコワいものは避けたい。「ワンルームマンション」なら、何とかなるのでは。そんな風に考えるシロウトさんは少なくないかもしれない。
しかしながら、経済通に聞いてみると、たいがい「やめとけ」と言われるのではないか。ところが本書『資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)の著者で、ファイナンシャルプランナーの齋藤岳志さんは「中古ワンルーム」を勧める。なぜなのか知りたくて手に取ってみた。
斎藤さんは10年ほど前から中古ワンルーム投資を始めて、現在は10戸保有しているという。資産形成のメーンになっているようだ。
なるほどと思った点がある。齋藤さんは都内を中心に約1万8000部屋の管理をしている会社に自分の賃貸マンションの管理を頼んでいる。この会社は入居率98%をキープしている。齋藤さんの10部屋で、都心3区にあるのは一つしかない。それでも過去10年で2か月以上の空室が続いた部屋はないという。
新たに部屋を購入しようと思うときは必ず「この部屋を購入しようと考えているのだけど、賃貸管理を引き受けてもらえますか」と問い合わせているそうだ。「大丈夫です」という回答がないものは買わないという。
ワンルームマンションはたいがいディベロッパーが中小業者。古い物件だと耐震性が不安で、共益費や修繕準備金が高いことも多い。居住者の出入りも激しいなどいろいろな不安要素がある。したがって、一般に経済通は尻込みする。なぜ齋藤さんが成功しているかと言えば、強力な管理会社と連絡を密にしていることが大きいと感じだ。
もともとはサラリーマン。株投資にのめり込んだこともあるが、緊張が続く生活に嫌気がさして2年で止めた。その後、不動産投資信託などを経て、様々な関連書を読み、セミナーにも参加して不動産投資への理解を深めた。税理士事務所に勤め、実際に不動産投資をしている顧客の確定申告も担当するなど勉強を重ねた。本書の中でも、「勉強は欠かさない」ことが強調されている。
思い出したのは、経済評論家の荻原博子さんが書いた『投資なんか、おやめなさい』(新潮社)。どうしても投資をやりたいなら、「金融機関と対等に渡り合えるだけの知識や経験があれば、おやりなさい」と書いてあった。何事も勉強、楽してトクする話はない。
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