読むべき本、見逃していない?

霊感少年と幽霊少女らの青春ラブストーリー

ライトノベル

きみがすべてを忘れる前に

 結城クロは、星陵学園高校二年の男子生徒。一番上の姉・藍子、二番目の姉・緋色、妹・黄の四人きょうだい。全員が霊感体質であり、それを人に知られぬよう過ごしている。

 クロは、志郎と、志郎の幼なじみで重い病を抱える女子生徒・紫音と、桜の木の下で友情を育んでいく。ある時クロは、自分が紫音に恋をしていることに気づく。

 夏休みのある日、紫音は手術を控え、志郎は紫音のもとへ向かうのだが、悲しい出来事が起きる。そして夏休みが明け、クロは紫音の幽霊と教室で再会する――。

 第一話は、地面に這いつくばって何かを探すセーラー服姿の幽霊が登場する。クロは妄念に憑りつかれた彼女に触れ、成仏へ導く。第二話は、音楽室のグランドピアノの前に立つ男子生徒の幽霊が登場する。妹・黄は幽霊に体を貸し、彼の願いを叶えるため協力する。第三話は、開かずの指導室で夜な夜なすすり泣く女子生徒の幽霊が登場する。姉・緋色は、彼女に死を与えて楽にさせる。第四話は、大木の根本に立つ少年の幽霊が登場する。藍子は、少年が会いたい幽霊を連れてきて、彼の心残りを昇華させる。

 学園内を彷徨う幽霊の物語に、背筋が凍る場面もあれば、それぞれが光となって消えていく姿に涙する場面もある。

 話が進む過程で、クロ、志郎、紫音、それぞれの気持ちが交錯する様子が描かれている。終着点が近づくとともに、幽霊は、多くの記憶、体という拠り所、その全てを失っていく。その前に、クロは徐々に感情をむき出しにして、噓偽りのない気持ちを告げる。

 最後に待ち受けているのは、予想外の展開だ。彼らの置かれた状況を思い込んで読み進めると、意表を突かれる。

 読書メーター「読みたい本」ランキング第1位を獲得した本書は、2011年9月、このライトノベルがすごい!文庫から刊行された『僕と姉妹と幽霊の約束』を全面改稿したものである。

 もし自分の近くに、心残りがある幽霊が彷徨っていて、彼らの姿が見えたとしたら、どんなやりとりをして、どんな物語が生まれるだろう。本当にこういうことがあるかも...と思い、引き込まれる物語。

(BOOKウォッチ編集部 YT)
  • 書名 きみがすべてを忘れる前に
  • 監修・編集・著者名喜多 南 著
  • 出版社名宝島社
  • 出版年月日2017年3月17日
  • 定価本体630円+税
  • 判型・ページ数文庫判・294ページ
  • ISBN9784800268754

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