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転ばぬ先の日本経済...「ブラック・スワン」対策を学ぶ

  • 書名 反脆弱性 (上) (下)
  • サブタイトル不確実な世界を生き延びる唯一の考え方
  • 監修・編集・著者名ニコラス・タレブ著、望月衛監訳、千葉敏生訳
  • 出版社名ダイヤモンド社
  • 出版年月日2017年6月22日
  • 定価各本体2000円+税
  • 判型・ページ数四六判・412ページ(上)、424ページ(下)
  • ISBN9784478023211(上) 9784478023228(下)

 前作「ブラック・スワン」が、リーマン・ショック(2008年)による金融危機の到来を予測していたかのような内容で世界的ベストセラーになった著者による新作。原書は12年11月に出版された。「ブラック・スワン」では、希少現象の発生が予測不能であることが指摘されたが、本書では、グローバル化により国際レベルでさらに増している不確実性を吸収し利用できるような「反脆弱性」の必要性を説く。

不確実性に富む時代に不可欠なシステム

 著者のニコラス・タレブ氏は、長く米ウォール街でトレーダーを務め金融デリバティブに精通する一方、認識論に取り組み予期しない現象について研究を重ね、経済や安全保障をめぐるリスクの専門家として執筆活動を行っている。

 本書のタイトルの「反脆弱性」は、英語の「fragility(脆弱性)」の反対語としてタレブ氏が造った「antifragility」の訳語。空港のチェックインカウンターで、取り扱いに注意が必要な預け荷物に「Fragile」と書かれたステッカーが着けられるが、fragilityはその名詞だ。

 「脆弱」「脆い」の反対語として考えられるのは「強い」とか「頑丈」あるいは「耐久力がある」などだが、それらの性質が維持されただけでは衝撃には耐えられても、それだけだ。一方、脆弱なものは衝撃をうければ変形あるいは破壊され、あげくに消滅してしまうかもしれないが「反脆弱性」をそなえていれば、衝撃を糧にすることができ不確実性に富む時代に挑んでいける。

 著者は、この「反脆弱性」のシステムを体得すれば、自らの判断で指針を立てられるようになると訴え、投資などの金融に限らず文化、社会、政治、技術的イノベーションから個人の人生や企業の生存についてなど、さまざまに適用できるという。

 前著「ブラック・スワン」では、かつてはいないと思われていたブラック・スワン(黒い白鳥)が発見され驚きをもたらしたことに習って「あり得ないと考えられていたことが突然発生すると影響は強さを増す」というブラック・スワン理論が唱えられた。同書出版直後にサブプライムローンに端を発したリーマンショックによる金融危機が発生、そのメカニズムに言及していた同書は"予言書"ともみられたものだ。ブラック・スワンはあり得ないことが起きてしまうことの象徴。つまり、危機は予測不能ということであり、じゃあ、われわれはどうすればよいのか。そうした問いに答えた著者の"アンサーブック"が本書という格好だ。

 週刊ダイヤモンド(2017年10月14日号)の「ブックレビュー」で本書をとりあげたA.T.カーニー株式会社のパートナー、吉川尚宏さんは「本書を読めば読むほど、これは脆弱性を抱えた現代日本の社会、経済、安全保障などに対する問題提起ではないかと思えてしまう」と述べている。

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