ザ・ビートルズがデビュー5年目の1967年にリリースした8枚目のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」はしばしば「不滅」と形容される。その年からほぼ3年間にわたってチャートにとどまり、誕生から半世紀を経てなお売れている伝説的アルバム。本書は、その発売50周年を記念して刊行され、このアルバムを「不滅」に仕上げた背景を4つの観点から立体的に語っている。
4つの観点は「ムード」「ルック」「サウンド」「レガシー」。著者の1人が60年代から、いわゆるサイケデリックの意匠を採り入れ活躍していたデザイナーで、当時の英国の文化を再現するなどした「ムード」や「ルック」が充実している。「ルック」ではまた、有名なカバーの制作エピソードについて担当デザイナーに取材している。
アルバムは、ビートルズが演じる架空のバンド「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のライブを再現するという実験的な演出で注目されたこともヒットにつながった。この「サウンド」面は、すでに語りつくされた感はあるものの、著者の独自の見方が織り込まれ、新鮮な印象を与える。
ビートルズをめぐっては、2016年の「来日50周年」に続くメモリアルイヤー。趣向を凝らしたCDなどの記念セットや書籍が発売されている。評者の、作家で翻訳家の旦敬介・明治大学教授は「この本はレコード会社の関与なしに作られたファン・ブックだ」と指摘。「アルバム内でポール・マッカートニーの一番いい部分はどこなのか、という一節を読んだときには、その部分の音源が突然、あざやかに耳の中に思い浮かんできて、鳥肌が立つような強烈な印象を受けた」と、ファン目線ならではの臨場感について述べている。
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