『定年後』と言うタイトルの本が、最初に登場したのはおそらく岡田誠三氏の小説だろう。1975年、テレビドラマにもなったが、当時はまだ日本経済が全体として上り調子。社会全体の中で、どことなくマイナーな話題だった。
だが、時代は大きく変わった。超高齢化、少子化が進み、将来は年金が出るかどうかも分からない。しかも超低金利。自分で自分の老後に備えないと不安だ。
書店に行くと、多数の「定年本」があふれている。中でも本書の売れ行きがいい。ベストセラーの上位をずっとキープしている。「週刊文春」「週刊朝日」などサラリーマン向けのメディアではたいがい紹介されている。すでにブックウォッチでも一度紹介したが、今回は婦人雑誌にまで登場した。
評者は鵜飼哲夫氏。特に肩書は書かれてないが、たぶん読売新聞の有名な文芸記者だろう。「あと2年足らずで60歳を迎える」ということもあり、「むさぼり読んだ」という。本書を「読むほどに元気が出てくる」と推奨している。
著者の楠木氏は1979年、京都大学法学部卒。生命保険会社で人事・労務、経営企画、経理、支社長等を経験。在職中から、「働く意味」をテーマに取材・執筆に取り組み、大学講師も務めた。『人事部は見ている。』、『サラリーマンは、二度会社を辞める。』、『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』、『左遷論』、『「こころの定年」を乗り越えろ 40歳からの「複業」のススメ』など多数の著書がある。
類書が多い中で、なぜ本書が好調なのか。たぶん「50歳からの・・・」と言うサブタイトルが効いたのだろう。会社人生の帰趨はたいがい、50歳あたりで決まる。出世レースからの落伍を感じたら、早めに本書を手に取ろう。
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