英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決め、米国ではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など自由貿易の枠組みに異を唱え、自国の雇用促進を掲げたトランプ氏が大統領に選ばれた。エマニエル・トッド氏ら反グローバリズムの研究者らは、これらを象徴的出来事として「グローバリズム以降」がすでに始まっていると説く。
インド出身の新進の研究者であるパラグ・カンナ氏による本書のサブタイトルは「グローバリズムの先にある世界」だが、トッド氏らとは予想している「世界」が違うようだ。評者の北海道大学大学院法学研究科の吉田徹教授は、同書が説くのは「グローバルなサプライチェーンの有用性」とみる。
本書がいう「グローバリズムの先にある世界」で優位になるのは「旧来の国民国家ではなく、資源を活用し、資本を招き、雇用を生み出すことができるシンガポールやドバイのような、世界とつながる都市」という。グローバル化ができた世界では「国籍に頓着しない都市こそが勝者になるのだ」と吉田教授。
「国境の壁を高くすること、すなわち接続を拒否する誘因が高まる時代に私たちが誤った方向に進まないための知恵がこの本には詰まっている」
予想外のことが続く時代だけに、本書を通して「先が読めない世界」にどう対応するか、そのヒントが得られそうだ。
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