みなさん、タバコをやめようとか、一日一万歩歩こうとか、瞑想を日課にしようとか、腹八分目を実践しようとか健康のためにと一念発起することは多いと思います。しかしなかなか長続きしませんよね。それはなぜなのか? 著者によれば、人間の心理学的なメカニズムは、確立された行動を変えるのではなく、維持するために働く。あなたが今すぐ変えたいと思っている行動を脳は必死に続けようとしていると解説しています。
それをストップするためには、自分の行動を効果的に動かす脳のシステム=動機付けシステムをプログラムし直すことが必要です。本書では、その動機づけシステムの仕組み、そしてそれを円滑に運用するための5つのポイントについて解説しています。
たとえばこんなものがあります。「目標の最適化」。5Kg減量という「結果目標」を設定することは問題ありません。しかし、その目標をクリアした後が問題です。ダイエットを試みただれもがおそらく経験したであろうリバウンドがやってきます。それは目標を結果にだけ置いているからです。結果だけではなく、プロセスにも目標を置くと、持続しやすくなります。月・水・金にジムに通う、週末は長い距離を歩く。こうした「プロセス目標」をも設定すると、5Kgの減量を達成したあとも、良い習慣としてその行動は残り、スリムな体型を維持することにつながります。
著者は認知心理学者で、人間の脳のはたらきや心理学に深い造詣をお持ちです。本書にまとめられた行動改善戦略は、長年の研究をベースにしたもので、まさに科学に裏付けられた戦略といっていいでしょう。「スマート・チェンジ」、あなたも試してみる価値があると思いませんか。
書名:スマート・チェンジ 悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略
著者:アート・マークマン
訳者:小林由香利
発売日:2015/1/23
定価:本体1700円(税別)