「沈黙の春」はいまなお終わっていない。(中略)
世界で使われている化学物質は(少量使用のものを含め)約10万種に増え、
毎年多数の新規物質が追加されている。
その多くは安全性が十分には確かめられていないものである。(本文第1章より)
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ベストセラー『ハチはなぜ大量死したのか』によって世に知らしめられた、
ミツバチが忽然と姿を消す蜂群崩壊現象。
地球上の様々な場所で同時多発的に大量のミツバチが姿を消したこの現象は、世界中を震撼させた。
著者は、日本でその実情を探るうち、現象の主要因を突き止める。
真犯人に浮上したのは、ハチのみならず生態系、
さらには人間の生活環境にとっても脅威となる、戦慄の化学物質だった……。
本書は朝日新聞論説委員・「週刊金曜日」編集長を歴任した著者が舌鋒鋭く切り込んだ、
環境化学物質の蔓延に警鐘を鳴らす必読の一冊である。
【目次より抜粋】
<序章 ミツバチ一家は完全分業>
ミツバチなしに世界は成り立たない/見直されるニホンミツバチ
<第一章 ミツバチの墓場があちこちに>
長崎県下の惨状/花粉交配用のミツバチが足りない!
<第二章 なぜミツバチは減り続けるのか>
日本のミツバチは三〇年で半減/ダニの増加と新農薬の普及
<第三章 アメリカのミツバチは疲労困憊>
全米を揺るがしたCCD/立ち上がる養蜂家と市民団体
<第四章 農薬規制に動いたEUの国々>
先陣を切ったフランス/ドイツ養蜂家の戦い
<第五章「ネオニコチノイド系農薬」の罪と罰>
実は「危険な農薬」/抵抗性害虫の出現
<第六章「農薬安全神話」のまやかし>
使う側の都合で決まる残留基準/農薬ムラの威力
<第七章 生物多様性の宝庫・田んぼの危機>
赤トンボが消えた/政府は生態系保全に動いたが
<第八章 急増する子どもたちの異変>
急増する「発達障害」児・者/歴史上最も不健康な子どもたち
<第九章 広がり、深刻になる健康被害>
増え続ける化学物質過敏症患者/農薬が空から降ってくる
<第一〇章 「脱・化学物質づけ」への道>
「農薬を使わない農業」をめざす/暮らしを変える 他
【著者プロフィール】
岡田 幹治(おかだ もとはる)
フリージャーナリスト。1940年、新潟県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
朝日新聞社ワシントン特派員、論説委員などを経て2000年に定年退社。
「週刊金曜日」編集長を務めた。
食の安全や環境問題、日本経済を主なテーマに、取材・執筆を行う。
著書に『アメリカ産牛肉から、食の安全を考える』など。
http://shinsho.shueisha.co.jp/書名:ミツバチ大量死は警告する
著者:岡田 幹治
発売日:2013年12月17日
定価:798円(税込)