今年の敬老の日を前に、日本の100歳以上の人口について報道があった。43年連続の増加で、史上最多の5万4000人に上るという。ちなみに調査を始めた1963年は、153人だった。まさに長寿社会。これからもどんどん100歳以上の人口は増え続けていくだろう。
本書では、SFの不老長寿の世界を皮切りに、それがまさに現実になろうとしている実例を紹介していく。再生医療、遺伝子工学、生命工学などの先端科学が飛躍的に進歩して、こわれた細胞や臓器の再生の道筋が見えてきた。完全な再生は、人間の寿命を驚異的に延ばし、150歳の長命も可能であるとする。
では、長寿が当たり前になると、何が起きたり、どんな状況が生まれたりするのだろうか? 人口論、家族論、仕事論、宗教論など、さまざまな切り口で著者はバラ色の世界を描いてみせる。
ちょっと想像してみよう。いろいろな場面が目に浮かんでくるはずだ。自分の曾祖父や曾祖母がずっと生きている。あるいは自分のひ孫や玄孫がたくさんいる状況。何世代にも渡って自分の家系のものが生活している。あるいはすでに孫がいる60代にして子を産めるようになれば、孫から見て、年下の叔父や叔母が誕生することになる。
自分のキャリアについてはどうだろうか。今までのように60歳で会社をいったん辞めても、そのあとに2度も3度も新しいキャリアをやり直せる。新しいチャレンジができる。コンサートが好きであれば、人生で5000回行けるものが、1万回行けるかもしれない。
アメリカで論争になった長寿革命。そんな時代は本当にやってくるのか。本書を読んで、未来をシミュレーションしながら、じっくり将来について考えてみるのも悪くない。
書名:寿命100歳以上の世界 20XX年、仕事・家族・社会はこう変わる
著者:ソニア・アリソン
訳者:土屋晶子
発売日:2013/11/1
定価:2,205円(税込)