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林業は、大変!だけど、おもしろい。『神去なあなあ日常』

 はて、林業ってどんな仕事だっけ?
・・・そんな思いを持ちつつ読み始めた。
主人公も、同じような思いで山に入ったはず。
でもいつの間にか引き込まれていく・・・
そんな一冊だ。

三重県の山奥。神去村(かむさり・むら)が舞台。
「なあなあ」というのが神去村の住人の口癖で、
「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」という
意味合いの言葉。
おっとりした人が多い村なのである。

高校卒業したての平野勇気(主人公)は、
突如として、林業に携わることになった都会(横浜)育ちの若者。
自分の意思ではなく、先生や親に放り出された形で
その神去村で、林業修行に励むことになったのだ。

コンビニはもちろん、郵便局も学校もない山奥生活や、
野生の生きものみたいなワイルドな先輩などに
戸惑いつつも、山仕事に慣れていくにしたがって、
徐々に徐々に、山に魅せられていく。

途中、「神隠し」「神事」などのエピソードが出てくる。
山の神様に感謝して、
山と共に生きる人たちの生活ぶりが
そういった世界に縁遠い私にも、
ほんわかと、活き活きと伝わってくる。
物語最後の、村で48年ぶりに行われるという
神事の描写は疾走感に溢れ、圧巻!
この、ほんわか感と疾走感のメリハリが、またいい。

四季折々の山の色、匂いの描写も素敵だ。
春の、それまでモノクロだった世界に一気に色が着いていく様子や
夏が近づいて、濃くなっていく水のにおいや・・・
読んでいると、山の中で深呼吸したくなってくる。

私個人的には花粉症のため、スギやヒノキの木は苦手だが・・・
それはそれとして、
この本は、
林業について考える良いきっかけになった。

来年には映画化される本作品。
どんな映像が見られるんだろう。そちらも非常に楽しみ。

【局アナnet 牟田祥子 / http://www.kyokuana.net/profile.html?id=66】

書名:神去なあなあ日常
著者:三浦しをん
発売日:2009年5月31日
定価:1575円(税込み) 

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